2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヘムプロピオン酸側鎖が関与するヘムタンパク質の高次構造形成と機能発現機序の解明
Project/Area Number |
20051015
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 高史 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (20222226)
|
Keywords | 蛋白質 / 酵素 / ヘムタンパク質 / ヘム |
Research Abstract |
一般に、ヘムタンパグ質の補欠分子ヘムに結合する2本のプロピオン酸側鎖は、タンパク質へのヘム分子の固定の役割を演じていると見なされている。しかし、幾つかのヘムタンパク質の結晶構造を眺めてみると、活性部位に近接した箇所で、プロピオン酸側鎖は酵素機能に密接に関与したアミノ酸残基と相互作用しており、タンパク質機能そのものの制御に重要な役割を果たしている可能性がある。そこで今回、ヘムタンパク質内のヘムプロピオン酸側鎖の役割を明らかにするため、ヘム6位及び7位プロピオン酸側鎖を欠損した「片足ヘム」を多段階で合成した。次にアポ化したヘム酵素(チトクロムP450cam)に得られたヘムをそれぞれ挿入し、再構成体を調製した。この再構成タンパク質に関して十分な精製を行った後に、 (1)構造的研究 : 結晶構造解析、^1HNMR測定、EPR測定、ラマン測定 (2)物性的研究 : ヘム鉄の酸化還元電位測定、基質の結合定数算出、タンパク質の安定性評価 (3)反応的研究 : 生成物解析、電子移動速度(還元速度)評価 に関する実験を実施した。その結果、ヘム7位欠損体を有するタンパク質の場合、基質結合部位に水分子が侵入し、d-camphorの結合定数が大きく低下し、触媒反応が劇的に減速した。以上の実験を通じ、特に7位プロピオン酸側鎖は、アミノ酸側鎖(Asp297,Arg299)と水素結合ネットワークを形成し、基質(d-camphor)の親和力を維持するために重要な役割を果たしていることが判明した。
|
Research Products
(4 results)