2008 Fiscal Year Annual Research Report
水素代謝に関与する膜タンパク質複合体の構造化学的研究
Project/Area Number |
20051022
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
庄村 康人 University of Hyogo, 大学院・生命理学研究科, 助教 (50423900)
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Keywords | 水素代謝 / ヒドロゲナーゼ / 電子運搬複合体 / 異化型亜硫酸還元酵素 / X線結晶構造解析 / 硫酸還元菌 |
Research Abstract |
原核生物における水素代謝は, 水素分子の酸化によるエネルギー獲得と酸化還元電位の調節に関与しており, 細胞の恒常性を維持する上で基本的且つ重要な機構として知られている. 本研究では, 水素代謝において中心的な役割を担うヒドロゲナーゼ及び電子運搬体複合体の試料調製法の確立を行い, 機能・構造解析による詳細な反応機構の解明を目指す. 膜表在型のヒドロゲナーゼは, 可溶性部分単体での結晶構造が明らかになっており, その反応機構の解明は急速に進展しているところであるが, 膜に結合した状態で, 或いは, 電子伝達体との複合体としての立体構造は知られていない. 一般的に電子伝達体との複合体は不安定なものが多いが, 近年, 比較的強い相互作用を示す種のものも見つかってきており, これを標的として精製条件の確立, 結晶化を進めている. 高純度な試料が比較的大量に得られるようになり, 結晶化条件の検索を進めている. また, 硫酸還元菌においては, ペリプラズム領域での水素の分解によって得られた電子は, 電子運搬複合体を通して細胞内に輸送されるが, この電子運搬複合体について単離・精製を試みたところ, 比較的高純度の試料が得られ, 可視紫外吸収測定等により, チトクロムb, cを含む5つのサブユニットからなる膜タンパク質複合体であることが分かった. さらに, 水素酸化によって得られた電子を亜硫酸に渡す役割を担っている異化型亜硫酸還元酵素の結晶構造を1.9A分解能で決定した. 本酵素は総分子量約200,000のα_2β_2γ_2のヘテロ6量体として存在し, γサブユニットの役割がこれまでによく分かっていなかったが, 今回の構造解析によりγサブユニットと触媒部位との結合様式が解明され, 機能解明に向けて重要な知見が得られた.
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Research Products
(1 results)