2009 Fiscal Year Annual Research Report
膜結合型一酸化窒素還元酵素の気体分子複合体の振動分光学的解析
Project/Area Number |
20051026
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
永野 真吾 Tottori University, 工学研究科, 教授 (60286440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 尚志 兵庫県立大学, 生命理学研究科, 教授 (70183770)
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Keywords | 呼吸酵素 / 振動分光 / 分子進化 |
Research Abstract |
脱窒菌などは脱窒と共役して生体エネルギーを獲得する硝酸呼吸をおこなうことができる。脱窒を担う酵素群のなかで一酸化窒素を亜酸化窒素(N_2O)に還元するのが一酸化窒素還元酵素(NOR)である。NORは好気呼吸の末端酸化酵素であるシトクロムcオキシダーゼ(CcO)とアミノ酸配列の相同性が見られることなどからNORはCcOの祖先分子であるとみなされており、呼吸酵素の分子進化の観点からも興味深い。本研究ではNORの反応メカニズムの解明と呼吸機能の分子進化を明らかにするために反応中間体である気体分子複合体の振動分光学的解析を進めている。昨年度までに低温で凍結させた酵素を高圧ガスに曝露し、強制的に気体分子を試料内部に浸透させ短寿命な気体分子-蛋白質複合体を調製するクライオガスサイターを開発した。また、常圧または低圧状態で市販されている安定同位体ガスをクライオガスサイターで用いるためのガス圧縮装置を昨年度に作製した。本年度はクライオガスサイターとガス圧縮装置を接続し、^<15>NOや^<18>O_2などの安定同位体ガスとNORとの複合体を調製するシステムを構築した。本システムを使って気体分子・呼吸酵素複合体の振動分光学的解析が可能となる。今後、ガス圧力、抗凍結剤の種類(グリセロールやエチレングリコールなど)、処理温度や時間などの調製条件の検討をさらに進め、目的とする気体分子複合体の振動分光学的解析を進め、研究分担者の小倉らがこれまでに得ているシトクロム酸化酵素の酸素複合体の振動分光学的データとの比較から呼吸機能の分子進化の解明を進める。
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