2008 Fiscal Year Annual Research Report
恒常性維持シグナルの変換体としてのMaf転写因子の活性調節システムの解明
Project/Area Number |
20052018
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
片岡 浩介 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 准教授 (20262074)
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Keywords | 転写制御因子 / シグナル伝達 / 遺伝子発現制御 |
Research Abstract |
bZIP型の転写因子ファミリーに属するMafタンパク質群は、細胞の分化・恒常性の維持にとって重要な役割を担っていることがあきらかにされており、細胞外のさまざまなシグナルを受容して活性が変化する「シグナル変換体」としての側面を持つことが示されつつある。本研究の目的は、転写因子Mafが、細胞外のさまざまなシグナルを感知してその活性を変化させる調節システムを生化学的に解明し、Mafを介した転写調節の分子機構をあきらかにすることである。 一昨年度までのMafAタンパク質の解析に引き続き、昨年度は類縁のMafBタンパク質についてもリン酸化部位の同定を試みた。本年度はc-Mafタンパク質についても同様の解析を行ったところ、MafAとMafB、c-Mafのリン酸化部位は、相同なもの(N末端側)と特異的(中央およびC末端側)なものがそれぞれ複数あり、その機能も多様であることが判明した。共通なリン酸化部位についても、その機能にはおのおので違いがあり、転写活性やタンパク質の安定性など、異なる影響を与えることがあきらかになった。SUMO化についてもその程度や転写活性への影響などに違いがあり、複雑で異なる制御機構を持つことをあきらかにした。さらに、それぞれの癌化能についても、SUMO化や部位ごとのリン酸化による影響にそれぞれ特異な違いを認めたことから、Maf転写因子群の生理的な機能の調節機構としても注目して、個体レベルでの解析を進めた。また、それぞれの部位のキナーゼの同定が進行中である。
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