2009 Fiscal Year Annual Research Report
恒常性維持シグナルの変換体としてのMaf転写因子の活性調節システムの解明
Project/Area Number |
20052018
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
片岡 浩介 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 准教授 (20262074)
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Keywords | 転写制御因子 / タンパク質分解 / 遺伝子発現制御 |
Research Abstract |
本研究の目的は、細胞外環境に応じたシグナルを、転写因子Mafが感知して活性を変化させることによって、生体の恒常性維持に寄与する調節システムを解明することである。Maf転写因子ファミリーは、生体内で細胞の分化・恒常性の維持に重要な役割を担っていることがあきらかにされている。これまでに、Maf因子群は恒常的にリン酸化されており、細胞外の環境に応答して安定性(分解速度)が制御されるという新規のシステムによって、「シグナル変換体」として機能することをあきらかにしてきた。 これまでにMafAタンパク質のリン酸化依存的な分解機構の重要性があきらかになったので、本課題ではその類似性から、MafBおよびc-Mafタンパク質のリン酸化部位をそれぞれ9カ所、6カ所同定し、タンパク質分解に重要な寄与をする部位を特定した。さらに、これらのリン酸化依存的にMafBおよびc-Mafに結合し、ユビキチンを付加する酵素E3リガーゼを同定することに成功した。また、この酵素によりMafBとc-Mafのタンパク質量および活性は負に制御されることをあきらかにした。一方、MafAはこのE3リガーゼと結合するもののほとんど分解促進されることがないという事実を突き止めた。すなわち、構造的に類似した転写因子であるMafA, MafB, c-Mafが異なる分解系によって制御されていて、細胞外シグナルの受容と変換において異なる役割を担い、異なるDECODEシステムを形成していることがあきらかになった。また、これらのMaf因子群のリン酸化による分解経路と、発癌過程との関連を新たに発見した。
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Research Products
(8 results)