2008 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチンインスレーター複合体によるクロマチン制御機構
Project/Area Number |
20052022
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
石原 宏 Kumamoto University, 大学院・先導機構, 特定事業教員 (90398230)
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Keywords | クロマチン / HOX遺伝子 / インスレーター / ヒストン修飾 / CTCF / CHD8 |
Research Abstract |
HOX遺伝子群は生物の発生や細胞の分化に重要な遺伝子であり、発生段階で体の前後軸・遠近軸形成に働くと考えられている。HOX遺伝子群は染色体上で密集して存在しているが、個々の遺伝子の発現様式は時空間的に厳密に調節されており、インスレーターによる転写制御が予想される。本研究はHOXA遺伝子領域におけるクロマチンインスレーター複合体の機能を明らかにすることを目的とする。 1. HOXA遺伝子領域におけるCTCF結合領域にCHD8が結合しているかをChIP解析により調べた。その結果、6つのCTCF結合領域の内4つにおいてCHD8の結合が確認されたが、残りの2つは結合しないあるいは非常に弱い結合であると考えられた。 2. CTCF結合領域のクロマチン修飾状態を明らかにするため、ヒストンアセチル化抗体、ヒストンメチル化抗体を用いてChIP解析を行った。その結果、HOXA領域の6つのCTCF結合領域は共通のヒストン修飾を受けていないことが明らかになった。 3. CTCFインスレーターによるクロマチン高次構造形成を明らかにするため、3C(Chromo some conformation capture)解析を行った。同定した6つのCTCFインスレーターのうち3つが核内で近くに存在し、クロマチンループ構造を形成している可能性が示唆された。 これらの結果からHOXA領域のCTCF結合部位は異なるクロマチンタンパク質複合体が結合し、異なる機能を有している可能性が示唆された。クロマチン高次構造変換による遺伝子発現制御の可能性が考えられた。
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