2009 Fiscal Year Annual Research Report
転写制御における基本転写因子TFIIDサブユニット(TAFs)の分子機能
Project/Area Number |
20052024
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
古久保 哲朗 Yokohama City University, 生命ナノシステム科学研究科, 教授 (10271587)
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Keywords | 転写調節機構 / 転写因子 / 基本転写因子 / 転写制御 / 出芽酵母 / TFIID / TAF / TBP |
Research Abstract |
コアプロモーター構造を認識する基本転写因子TFIIDは、TATAボックス結合タンパク質(TBP)と14種類のTBP随伴因子(TAF1-14)から構成される巨大なタンパク質複合体であり、転写調節因子から受け取った信号を転写量の増減へと変換する上で中心的な役割を果たす。一方、5種類のサブユニット(TAF5,6,9,10,12)をTFIIDと共有するSAGAはヒストンをアセチル化するとともにTBPのTATA配列への結合を補助する働きを有する。コアプロモーター中にTATA配列を含むストレス誘導性遺伝子ならびにTATA配列を含まないハウスキーピング遺伝子はそれぞれ主にSAGA, TFIIDによって転写されると考えられているが、その詳細については不明な点が多い。 今回我々は、TFIIDとSAGAの機能分担について新たな知見を得るべくChIP on chip解析を行った。具体的にはTFIIDの全サブユニット(TAF1-14, TBP)、SAGA(GCN5)、基本転写因子群(TFIIB(SUA7), TFIIE(TFA2), TFIIF(TFG1), TFIIH(TFB3)), NC2(BUR6, NCB2),RNAポリメラーゼII(RPB1)のC末端にエピトープタグを付加し、野生株及びtaf1変異株において、これらの因子がゲノム上(第III, IV, V染色体)のどの領域に結合するかを詳細に調べた。その結果、(1)TFIIBとNC2の機能連関、(2)TFIIDとSAGAのリボソーム遺伝子(RPG)プロモーターへの共結合、(3)RPGプロモーター上におけるtaf1変異による転写異常の分子機序、(4)TAF2の結合特異性、(5)コアプロモーターごとにTFIIDの高次構造が異なる可能性、等々複数の興味深い知見が得られた。
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