2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20052032
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
升井 伸治 Research Institute, International Medical Center of Japan, 細胞組織再生医学研究部形質転換ベクター開発研究室, 室長 (20342850)
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Keywords | Es細胞 / 神経幹細胞 / Sox2 / 栄養膜幹細胞 / 自己複製 / 転写因子 |
Research Abstract |
哺乳動物の幹細胞は、分化能を保って分裂する能力(自己複製能)をもつ。無限に自己複製を行うものとして、生殖細胞・胚性幹細胞(ESC)・神経幹細胞(NSC)・栄養膜幹細胞(TSC)が知られる。一般に幹細胞は分化細胞特異的遺伝子の発現を抑制すると同時に、細胞老化の開始を抑制すると考えられる。すなわち無限自己複製機構とは、幹細胞特異的転写因子による分化能維持・細胞老化因子群の統合的制御機構であるが、その構成遺伝子や転写制御様式については大部分が不明である。NSCおよびTSCは、発生系譜や分化能が全く異なるものの、共通の性質として無限に自己複製し、転写因子Sox2を強く発現する。我々はこれまでに、Sox2の機能は両者の正常な自己複製に必須であることを見出している。本研究では両方の幹細胞においてSox2下流遺伝子を網羅的に探索し、共通して見出される下流遺伝子について機能解析を行って、無限自己複製機構に必須の新規遺伝子および転写制御回路の同定を目指す。高精度でSox2下流遺伝子を同定する目的で、均一な未分化集団として培養できるNSCを用いて解析するため(一般的なNSC培養法であるニューロスフェア法では分化細胞の混入割合が高い)、誘導的Sox2ノックアウトESC(2TS22C)を材料に、平面培養法にて誘導的Sox2ノックアウトNSC(NS22-2)を樹立した。NS22-2はテトラサイクリン存在下でSox2を完全に消失し、自己複製/増殖を停止した。この系を用いてマイクロアレイ解析を開始している。一方、自己複製は複数の因子が協調的に働いて引き起こされるだろうから、上述の解析からNSCとTSCに共通して見出されるSox2下流遺伝子については、同時に多数発現させて機能検定する必要がある。現在の遺伝子導入法では数十因子以上の同時発現ができないため、導入遺伝子の直接の効果として解析できない。本研究ではこれを可能にする新規遺伝子発現システムを開発した。
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