2009 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチン修飾を介したブロモドメインタンパク質による発生制御機構
Project/Area Number |
20052034
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Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Maternal and Child Health |
Principal Investigator |
松尾 勲 Research Institute, Osaka Medical Center for Maternal and Child Health, 病因病態部門, 部長 (10264285)
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Keywords | マウス / エピジェネティクス / 発生 / ヒストン化学修飾 / 転写 / アセチル化 / Brd2 / ブロモドメイン |
Research Abstract |
1、BETドメインファミリー遺伝子は、アセチル化ピストンに特異的に結合するプロモドメインを持つ遺伝子群である。アミノ酸一次構造から、主に体細胞で発現するBrd2,Brd3,Brd4と生殖系列特異的に発現するBrdtとに大別されている。今年度は、マウスの神経上皮形成過程における、Brd2遺伝子の機能を明らかにするため、遺伝子欠損マウス及び過剰発現マウスを作製し、その表現型を解析した。Brd2遺伝子欠損変異体としては、当研究室で同定された、Brd2遺伝子座を完全に欠失したトランスジーン挿入null変異体及び英国サンガーセンターのBrd2遺伝子トラップ変異体を用いて解析を進めた。また、過剰発現マウスについては、CAGプロモーター下にBrd2 cDNAを連結したトランスジーンを用いて、トランスジェニックマウスを作製した。Brd2欠損変異胚では、どちらの変異alleleでも神経管閉鎖不全、顔面頭蓋形成不全、矮小等を示し、胚性12~15日目までに致死となった。一方、Brd2過剰発現マウスは、一見したところ正常であり、遺伝子欠損マウスで見られる矮小や神経管閉鎖不全などの形態的異常を回復させることができた。 2. 次に神経上皮における細胞レベルでの異常を明らかにするため、細胞増殖マーカーとしてリン酸化ヒストンH3、細胞死マーカーとして活性化型Caspase-3等について組織免疫染色を行った。その結果、前脳領域の神経上皮細胞は、胚性10日目では、ほとんど細胞分裂像が観察されず、細胞死に至ることが明らかになった。また、9日目では、アピカル側以外のより基底膜側においても、異所的な細胞分裂が観察された。以上の解析から、細胞増殖異常及び異所的な細胞死が主たる原因で神経管閉鎖不全や矮小などの異常に至ったことが示唆された。
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Research Products
(4 results)