2008 Fiscal Year Annual Research Report
植物の低リン耐性に関わる排出型トランスポーターの単離
Project/Area Number |
20053015
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
和崎 淳 Hiroshima University, 大学院・生物圏科学研究科, 准教授 (00374728)
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Keywords | リン / 分泌 / トランスポーター / 有機酸 / 酸性ホスファターゼ / ストリゴラクトン / フラボノイド / リン鉱石資源 |
Research Abstract |
資源の涸渇に瀕しているリン酸質肥料の有効利用を図るためには、植物の低リン耐性を理解し、その機能を利用することが必要である。低リン条件に適応する植物は、根から有機酸、酵素、二次代謝産物(ストリゴラクトン類やフラボノイド類)などの物質を分泌することによって自ら根圏環境を改善する能力を有するが、その物質分泌の能力とこれを担う排出型のトランスポーターはあまり同定が進んでいない。そこで本研究は、低リン耐性に関わる未解明の排出型トランスポーターを単離し、この分子が担う分泌物質と低リン耐性における機能を解明することを目的としている。 これまでに、低リン条件下で栽培した3種類の植物の根部を試料としたマイクロアレイ解析を実施した。その結果より、低リン条件下で発現が増加した機能未知の膜タンパク質候補を選抜した。この候補遺伝子について、シロイヌナズナの根部においてリン欠乏条件で顕著に発現が誘導されていることを確認した。また、T-DNAタグラインを入手し、ホモ系統の株の育成を実施した。 解析対象とする形質は、1)難溶性リン酸塩を形成する金属イオンをキレート化し、リン酸を放出する「有機酸」、2)有機態リンを分解し、無機リン酸を放出する「酸性ホスファターゼ」、3)菌根菌との共生に重要な役割を担う「ストリゴラクトン」、4)根圏細菌との共生に関わる可能性が指摘される「フラボノイド類」とした。以上の形質をシンプルに観察するため、シロイヌナズナおよびミヤコグサを用い、難溶性リン酸培地または低リン培地を用いたスクリーニング系を確立した。難溶性リン酸培地を用いて変異株の栽培試験を実施し、難溶性リン酸利用性の低い株を見いだした。
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