2008 Fiscal Year Annual Research Report
三量体Gタンパク質αサブユニットの脂質ラフト局在と脂質修飾に関する研究
Project/Area Number |
20054002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中畑 則道 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 教授 (60045804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守屋 孝洋 東北大学, 大学院・薬学研究科, 准教授 (80298207)
小原 祐太郎 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教 (40400270)
斎藤 将樹 東北大学, 国際高等研究教育機構, 助教 (50400271)
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Keywords | 細胞・組織 / シグナル伝達 / 生体分子 / 糖領 / 薬理学 |
Research Abstract |
脂質ラフトはスフィンゴ脂質、コレステロールやスフィンゴ糖脂質などに富む細胞膜マイクロドメインであるが、受容体を介するシグナル伝達が効率的に行われる場としても重要であることが近年示唆されている。われわれは最近、ホスファチジルイノシトール(PI)代謝回転のマストパランによる抑制メカニズムについて検討したところ、マストパランは脂質ラフトからGαqを遊離させ、その作用点は脂質ラフトのガングリオシドであることを明らかにした。さらに、Gqと同様にGsについてもマストパランは脂質ラフトから遊離させることを明らかにした。一方、Gαが脂質ラフトに留まるのは、パルミトイル化を受けていることが考えられる。そこで、Gαの脱パルミトイル化について検討を加えるとともに、Gαの遊離に伴って細胞膜に増加すると考えられるGβγの作用について検討を加えた。パルミトイル化の解析には、タンパク質性アシルビオチニル交換法を用いた。この方法は、パルミトイル化されていないSH基をN-エチルマレイミド(NEM)ではじめに修飾した後に、パルミトイル基を外し、フリーになったSH基にビオチン標識物をS-S結合させ、ストレプトアビジンを用いてビオチンを沈降させることで、パルミトイル化されたタンパク質を最終的にはウエスタンブロッテイングにて測定するものである。その結果、マストパランによるGαsの遊離には、脱パルミトイル化は見られなかった。すなわち、脱パルミトイル化以外の機構でマストパランはGαを脂質ラフトから遊離するものと考えられた。一方、マストパランはextracellular-signal-regulated kinase(ERK)1/2のリン酸化を強く引き起こした。このマストパランによるERK1/2のリン酸化反応は、ガングリオシドのシアル酸を除去するノイラミニダーゼ処理で抑制されるとともに、Gβγの作用を抑制するGRK-2のC-ターミナルの発現によって抑制された。すなわち、マストパランはGαの脂質ラフトからの遊離に伴うGαシグナルの抑制と、Gβγの活性化に基づくERK1/2の活性化などが、同時に起こすものと思われる。
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Research Products
(28 results)