2008 Fiscal Year Annual Research Report
低分子量G蛋白質群による細胞分化と形態形成の制御機構の解明
Project/Area Number |
20054004
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
遠藤 剛 Chiba University, 大学院・理学研究科, 教授 (30194038)
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Keywords | 低分子量G蛋白質 / M-Ras / RhoD / Rafファミリー / 骨芽細胞分化 / 細胞突起 / ノックアトマウス |
Research Abstract |
私たちがこれまでに同定した低分子量G蛋白質M-Ras, RhoD, RhoJ(RhoT), およびRasの標的蛋白質として同定したDX-Raf蛋白質群について, 細胞分化のシグナル伝達機構を詳細に解明し, またマウス発生過程と成体でみられる形態形成や再生における機能を明らかにすることを目的とする. 今年度は次のことがらを明らかにした. M-Rasは骨に高発現しており, BMP-2シグナルにより発現誘導され, 骨芽細胞分化に不可欠な役割を果たしていることをこれまでに明らかにしてきた. さらにM-Rasはp38MAPKとJNKの活性化を介して骨芽細胞分化を誘導していることを詳細に示した. またM-RasはSca-1の発現を誘導することにより, 骨芽細胞分化の後期にみられるカルシウム沈着に働いている可能性を明らかにした. RhoDによる独自の細胞突起(cytonemes)形成にかかわる標的蛋白質を同定するために, アクチン重合因子であるmDiaが働いている可能性を検討した.mDiaアイソフォームの中でmDia3CだけがGTP依存的にRhoDに結合した. mDia3CはRhoDによるエンドソームの移動の抑制に働いていた. しかしcytonemes形成には機能していないことがRNAiにより示された. したがってcytonemes形成には未同定の他の標的蛋白質が働いていると考えられる. マウスの形態形成および腫瘍形成におけるDA-Rafの関与を明らかにするために, DA-RafのKOES細胞を樹立し, さらにKOマウスを作製した. これらのES細胞やKOマウスの表現型を解析して, 筋形成や神経形成および腫瘍形成におけるDA-Rafの機能を明らかにする. またDA-Rafと同様に, キナーゼドメインを欠損しているRafファミリーの新規のメンバーDB-RafとDC-Rafを同定した. これらDX-Raf蛋白質群(DA-Raf, DB-Raf, DC-Raf)はいずれも活性化Rasに結合し, Ras-ERKカスケードに拮抗作用を示した.
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