2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の極性形成における低分子量Gタンパク質の役割と作用機構
Project/Area Number |
20054010
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
扇田 久和 Kobe University, 医学研究科, 准教授 (50379236)
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Keywords | ネクチン / インテグリン / Cdc42 / Rap1 / 細胞極性 |
Research Abstract |
運動している細胞では前後軸方向に極性が形成され、運動方向に先導端が形成されることにより細胞運動が促進する。さらに、運動している細胞同士が衝突して細胞間接着が形成されると、上皮細胞では上下軸方向に極性形成が生じ、細胞の頭頂側と側基底側が区別できるようになる。本年度は細胞運動時および細胞間接着形成時の極性形成における低分子量Gタンパク質の役割と作用機構について検討し、以下の点について明らかにした。 1.細胞運動時の極性形成における低分子量Gタンパク質Rap1の役割と作用機構 細胞を増殖因子の一つである血小板由来増殖因子(PDGF)うで刺激すると、細胞は刺激方向に向かって運動先導端を形成し、その部位にPDGF受容体、インテグリンおよびネクチン様分子5が集積する。この運動先導端に、活性化したRap1も集積していた。Rap1は、PDGF刺激によってリン酸化されたPDGF受容体に結合するCrk-C3G複合体を介して活性化された。活性化したRap1は、アクチン細胞骨格の形成に関わる別の低分子量Gタンパク質Rac1、RhoAの活性化を制御し、PDGF刺激方向の細胞運動を促進していた(論文投稿中)。 2.低分子量Gタンパク質Cdc42がインテグリンと共に細胞間接着の極性形成を制御する分子機構 細胞間接着の形成に重要な接着分子ネクチンの裏打ちタンパク質アファディンをノックアウトした胚性幹細胞を用いて胚様体を形成させると、胚様体は内胚葉層と外胚葉層を形成するものの、これらの層を構成する細胞間での接着構造および細胞極性が著しく乱れていた。その分子機構の一つとして、インテグリンα6β4の発現異常およびCdc42と極性因子Par-3の活性低下が明らかになった。
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Research Products
(9 results)