2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20054024
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
前濱 朝彦 National Institute of Infectious Diseases, 細胞化学部, 室長 (40322755)
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Keywords | シグナル伝達 / GTP結合蛋白質 / mTOR |
Research Abstract |
細胞は細胞外から様々なエネルギー源・栄養素を取り入れ、利用するために様々な細胞外環境の変化を感知し応答するシステムを備えている。アミノ酸は蛋白質合成の原料となる重要な栄養素であり、その細胞内外での量的変化が細胞の蛋白質合成シグナルを厳密に制御していることがよく知られている。しかしながらアミノ酸感知システムがどのようなシグナル分子群で構成されているのかは未だに不明な点が多い。そこで本研究ではスイッチ分子として様々な細胞内シグナルにおいて重要な機能を担うG蛋白質に着目し、アミノ酸感知システムに関与するG蛋白質(群)の同定およびその機能解明を目的とした。RNAi法によってアミノ酸感知システムに関与する低分子量G蛋白質のスクリーニングを行ったところ、RalAおよびRalGDSをはじめとする活性化因子群のノックダウンが、遊離アミノ酸に応答したmTORC1活性化を阻害することを見いだした。またRalAおよびRalGDSのノックダウンはグルコースに応答したmTORC1活性化も阻害したが、インスリンによるmTORC1活性化にはほとんど阻害作用を示さなかった。このことから、RalAおよびRalGDSは栄養素感知システムに特異的なシグナル分子であると考えられた。またRalAのノックダウンが活性化型Rhebの発現によるmTORC1活性化を部分的に抑制したことなどから、RalAを介するシグナルはmTORC1に対してRhebと並列に作用することが示唆された。以上の結果はmTORC1がRalA、RhebあるいはRagといったG蛋白質群によって複雑な制御を受けていることを示しており、今後その作用機作の解明が期待される。
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Research Products
(2 results)