2008 Fiscal Year Annual Research Report
DNA複製阻害からの回復に関わるDNA相同組換えと損傷トレランスのクロストーク
Project/Area Number |
20055011
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菱田 卓 Osaka University, 微生物病研究所, 准教授 (60335388)
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Keywords | DNA損傷トレランス / DNA相同組換え / DNA複製 / 酵母 / ユビキチン / 紫外線 |
Research Abstract |
DNA損傷によって引き起こされるDNA複製阻害を回避する機構には、DNA修復、DNA損傷トレランス、DNA損傷チェックポイントなど多様な核内機構が連携して複雑なネットワークを形成している。本研究では、細胞が慢性的に紫外線照射を受けることによって引き起こされる複製阻害に対して機能する損傷トレランスとDNA相同組換え修復機構の役割について解析を行い、以下のような結果を得た。 1. 慢性的な紫外線照射下において、損傷トレランスの欠損株は一本鎖DNAが蓄積することによる損傷チェックポイントの恒常的な活性化が起こり、細胞周期がG2期で停止する。 2. このG2期停止の維持には、DNAヘリカーゼのSrs2タンパク質が必要で、DNA相同組換え機構で中心的な役割を果たすRad51蛋白質の機能阻害を引き起こすことで、損傷チェックポイントの活性化に必要な一本鎖DNAの形成・維持に関与している。 3. Srs2タンパク質が複製阻害部位で機能するためには、DNA複製因子の一つで、ポリメラーゼの伸長因子として働くPCNAのSUMO化修飾が必須であり、Srs2のC末端ドメインがこのSUMO化PCNAとの結合に必要である。 今回の研究により、損傷トレランスによる複製阻害回避機能の重要な役割の一つが損傷チェックポイントの活性化を抑えることであることが明らかになった。さらに、Srs2が損傷トレランス、相同組換え、損傷チェックポイントの制御において中心的な役割を果たしており、組換え阻害とチェックポイントの活性化の両方に関与していることが明らかとなった。
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Research Products
(10 results)