2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20056001
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
山田 勝也 Hirosaki University, 大学院・医学研究科, 准教授 (40241666)
|
Keywords | グルコース / 膜輸送 |
Research Abstract |
D-グルコースは生物が広く利用するエネルギー源であるにも関わらず、単一細胞レベルでのグルコース輸送動態には未だ不明の点が多い。そこで代表者らは蛍光標識したD-グルコース誘導体2-NBDGが、生きた単一哺乳動物細胞内にグルコーストランスポーター(GLUT)を介して取り込まれることを示し、グルコース輸送の可視化に道を開いた。しかし2-NBDGを脳など複雑な細胞構成をとる組織に適用して議論するには、2-NBDGのGLUTへの結合解離、膜を通過した後の代謝の他、細胞外へのGLUTを介した流出や他細胞へのGap結合を介した移動があり、更に退色や細胞膜への吸着の程度の評価なども必要で、それには適切な対照蛍光分子の開発が不可欠である。そこで細胞が利用しないL型の蛍光グルコース誘導体2-NBDLGを新規開発した。21年度は、2-NBDGあるいは2-NBDLGを神経細胞、アストロサイトなどにbath投与、もしくはパッチクランプ電極から投与しながら共焦点顕微鏡でリアルタイムに計測する方法を開発し、2-NBDGの細胞膜への非特異吸着や、短時間の光照射による退色や分解は非常に小さいことなどが定量的に表せるようになった。またNBDと蛍光波長極大が離れていて、かつ強い蛍光を発する分子を探索し、NBDG類縁体ならびに非類縁体を対象に多数の合成を行った。このうち2-NBDGと異なる赤色の蛍光を有するL型グルコース誘導体2-TRLGを合成し、2-NBDGと2-TRLGを同時に使用して特定波長範囲における両者の比を用いることで、セルアタッチモードでパッチクランプしている細胞から自発発火を記録しながら、同パイペットを介して2-NBDGが細胞内に取り込まれる際の蛍光強度の増加を定量的に表す方法を開発した(山田他、特許願2009-185010;山田他、PCT/JP2009/064053)。
|