2008 Fiscal Year Annual Research Report
トランスポートソームの機能破綻による神経性異常とヒトにおける病態解析
Project/Area Number |
20056004
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
下川 哲昭 Gunma University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90235680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鯉淵 典之 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80234681)
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Keywords | CIN85 / エンドサイトーシス / 多動性 / ノックアウトマス / ドーパミン受容体 / Endophilin |
Research Abstract |
CIN85ノックアウトマウスの多動の解析 CIN85(Cbl-interacting protein of 85 kDa)はRING型のubiquitin hgaseとして機能するCblと相互作用を持つアダプター蛋白質として同定され、現在その発現や機能が相次いで報告されている。我々はこの分子の個体における生理的意義を明らかにする目的でCIN85ノックアウトマウスを作製した。CIN85ノックアウトマウスは行動学的に「多動性」示す。この分子メカニズムにおける解析を行い以下の結果を得た。 (1) CIN85ノックアウトマウスと野生型マウスの線条体初代培養においてドーパミン刺激後、細胞膜表面に存在する2型ドーパミン受容体を同定した。ドーパミン受容体の細胞内へのインターナリゼーションは野生型に比べノックアウトマウスでは有意に減少していた。しかし1型ドーパミン受容体のインターナリゼーションは野生型と比べて変化はなかった。CIN85の機能は2型ドーパミン受容体に特異的であることが分かった。 (2) CIN85はSynaptosomeでエンドサイトーシスに関する制御タンパク質であるEndophilinと結合している。CIN85の欠損によりEndophilinがリクルートされずドーパミン受容体の細胞内へのインターナリゼーションが減少することが明らかになった。 (3) トリチウム標識したドーパミン受容体アンタゴニストである[^3H]Spiperoneを用いた解析においてもドーパミン受容体の細胞内へのインターナリゼーションは野生型に比べCIN85ノックアウトマウスでは有意に減少していた。 以上から、CIN85ノックアウトマウスの多動は脳内線条体のドーパミン系の異常によるものと推察される。現在、これまでの研究結果を論文として投稿する準備をしている。
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