2008 Fiscal Year Annual Research Report
3種類の胃プロトンポンプトランスポートソームの機能と環境基盤の解明
Project/Area Number |
20056010
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
酒井 秀紀 University of Toyama, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 教授 (60242509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森井 孫俊 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (60019130)
田渕 圭章 富山大学, 生命科学先端研究センター, 准教授 (20322109)
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Keywords | 胃酸分泌細胞 / 細管小胞 / アピカル膜 / カベオラ / 脂質ラフト / カベオソーム / プロトンポンプ / トランスポートソーム |
Research Abstract |
本研究では、胃酸分泌細胞アピカル膜(頂端膜)の脂質ラフト領域と非ラフト領域にそれぞれ存在する胃プロトンポンプの機能について解明すること、ならびに胃プロトンポンプがどのような分子メカニズムで、H^+輸送を行うのかについて解明することを目的とした。 ブタ胃粘膜より、アピカル膜に富むベシクル(SAV)を調製し、胃プロトンポンプのATP加水分解活性ならびにH^+輸送活性に対する、methyl-B-cyclodextrin(MBCD)および水溶性コレステロールの効果について検討した。SAVをMBCD処理しコレステロールを引き抜くことにより、胃プロトンポンプのATP加水分解活性およびH^+輸送活性は、コントロールに比べ、著しく低下した。MBCD処理後に、コレステロールを加えると、低下した両活性は元のレベルにまで回復した。界面活性剤のCHAPSを使用した実験から、MBCD処理により、脂質ラフト領域に存在している胃プロトンポンプは、ほぼ完全に非ラフト領域に移行し、MBCD処理後のコレステロール添加により、ラフト領域に戻ることがわかった。これらの結果から、アピカル膜に存在するプロトンポンプは、脂質ラフトに存在するときにのみ活性を有することが明らかになった。 つぎに^<18>O水を用いた実験から、胃プロトンポンプは、1モルのATP加水分解によって1.8モルの水を輸送する結果を得た。分子動力学シミュレーションにより、電荷移動路(H_3O^+-Lys-164-Gln-161-Glu-345)が形成されることがわかった。HEK293細胞に発現させた胃プロトンポンプのQ161L、E345L変異体は、ATP加水分解活性を完全に失った。プロトンは電荷移動で細胞質側からイオン結合部位まで運ばれ、水と結合しオキソニウムイオンが形成され、分泌管腔側に輸送されることが示唆された。
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Research Products
(18 results)