2008 Fiscal Year Annual Research Report
材料工学的アプローチによる人工生体膜ラフト構造の再現
Project/Area Number |
20056012
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宇治原 徹 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 准教授 (60312641)
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Keywords | 脂質二重膜 / 半導体デバイス / 相分離構造 |
Research Abstract |
本研究で注目しているラフト構造は、生体膜中に液晶-液晶相分離により形成される相分離構造であり、最近の研究から、膜タンパク質の凝集場所として機能していることが示唆されている。生物学的な観点では、ラフト構造の形成はタンパク質の機能により理解されるが、一方、物理学的な観点では、このような相分離構造は自己組織的に形成されると考える。本研究では、ラフト構造を、物理に基づく材料工学的アプローチにより固体基板上の平面人工生体膜に再現し、ラフト構造形成における物理的メカニズムの役割を明らかにすることを目的とする。さらに、人工生体膜に膜タンパク質を導入することで、再現したラフト構造と膜タンパク質の凝集・輸送との相関を調べ、物理的メカニズムによる膜タンパク質複合体形成の可能性を探る。 本年度の研究においては、以下のことを行った。 1. 脂質膜全体の温度制御と、局所的な光照射を組み合わせることで、任意の位置に相分離構造を形成、移動させることに成功した。このことは、実際の生体膜における位置選択的な相分離構造形成を模倣した結果であると考えている。 2. 実際の生体膜においては、ラフト構造と呼ばれるコレステロールを含む相分離ドメインが重要であり、本研究においても、人工的にラフト構造を再現し、それに光照射を行ったところ、ゲル相ドメインと同様に位置選択的な形成に成功した。 3. 膜タンパク質を導入した脂質膜を形成し、これらの現象を膜タンパク質の制御に応用する準備を整えた。 4. さらに、電気的刺激による相分離構造の凝集制御にも成功した。このことは、電荷が相分離構造の局所形成に寄与していることを示す結果である。
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