2008 Fiscal Year Annual Research Report
リン脂質フリッパーゼを介する「脂質場」の形成とその細胞骨格制御における役割
Project/Area Number |
20056015
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梅田 真郷 Kyoto University, 化学研究所, 教授 (10185069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 詩子 京都大学, 化学研究所, 助教 (90362392)
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Keywords | リン脂質 / フリップ・フロップ / P型ATPase / 膜ドメイン / 細胞運動 / アクチン骨格 / 低分子量Gタンパク質 / Arf6 |
Research Abstract |
本研究では、生体膜を構築する脂質二重層内外でリン脂質分子を輸送するリン脂質フリッパーゼにより形成される特異な脂質ドメイン「脂質場」が、いかなるメカニズムで時報伝達分子の分子集積を誘導し、細胞骨格の再編に関わるのか、その分子機構の解明を目指している。本年度は、1)mROS3・Type4 P型ATPase ATP8A1複合体のリン脂質フリッパーゼとしての機能、2)mROS3/ATP8A1のラッフル膜形成における役割、について検討を進め、以下の知見を得た。 1) mROS3・Type4 P型ATPase ATP8A1複合体のリン脂質フリッパーゼとしての機能 抗mROS3抗体による免疫沈降物の解析ならびに細胞の蛍光抗体染色法により、mROS3はType4 P型ATPase ATP8A1と複合体を形成し、小胞体からゴルジ体・リサイクリングエンドソームを経由してATP8A1の形質膜への輸送を制御していることが明らかとなった。mROS3の発現を抑制した場合、ATP8A1が形質膜へと移行することが出来ずにリン脂質、特にボスファチジルセリン(PS)やホスファチジルエタノールアミン(PE)の形質膜脂質二重層の外層から内層(細胞質側)への移行が阻害されることが示された。一方、RNA干渉によりATP8A1の発現を抑制した場合にもリン脂質のフリップ・フロップが阻害され、特にPEの輸送が顕著に阻害されることが明らかとなった。 2) mROS3/ATP8A1のラッフル膜形成における役割 ATP8A1の発現抑制ならびにATP8A1のATPase活性を阻害したドミナントネガティブ変異体の発現により、Boyden-chamber法による細胞遊走活性の強い阻害が観察された。また、遊走細胞の先導端のラッフル膜へATP8A1分子が強く濃縮して存在することが明らかとなった。さらに、mROS3あるいはATP8A1の発現を抑制すると、低分子量Gタンパク質Arf6並びにその下流で働くRac1タンパク質の形質膜への移行が阻害され、その結果ラッフル膜の形成抑制により細胞運動が顕著に低下することが明らかとなった。また、mROS3の過剰発現による細胞遊走活性の促進もArf6のドミナントネガティブ体の発現により抑制されることが示された。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Changes in temperature preference and energy homeostasis in dystroglycanmutants2009
Author(s)
Takeuchi K, Nakano Y, Kaneda M, Aizu M, Yamaguchi A, Kato U, Awano W, Kiyonaka S, Mori S, Yamamoto D, Umeda M
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Journal Title
Scienc 323
Pages: 1740-1743
Peer Reviewed
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