2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜安定性維持システムの破綻によるトランスポートソーム異常と病態
Project/Area Number |
20056020
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金川 基 Osaka University, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (00448044)
|
Keywords | 細胞膜 / 膜修復 / 筋ジストロフィー / ジストログリカン / ジスクェルリン |
Research Abstract |
細胞膜の脆弱化は、細胞内カルシウム動態を変化させ、細胞変性や筋ジストロフィーを引き起こす。従って、細胞膜の安定性を担うシステムは、トランスポートソームの機能・恒常性に必須であり、その異常が病態発症の要因と考えられる。細胞膜の安定性に関わるタンパク質として、ジストログリカンとジスフェルリンが挙げられる。ジストログリカンは、細胞骨格と細胞外マトリックスを結ぶことで細胞膜に強度を与え、ジスフェルリンは破綻した細胞膜の修復を担っている。本研究では、ジストログリカンやジスフェルリン変異に起因する細胞膜の脆弱化によって、異常をきたし、病態発症に関与するトランスポート成分を同定する。更に、ジスフェルリン依存の細胞膜修復機構の解明に迫る。 今年度は、ジストマグリカンの機能不全マウス(Hpマウス)と、ジスフェルリン変異マウス(SJLマウス)を掛け合わせることで得られた二重変異マウスの病態解析を行った。Hpマウスは、顕著な病態を示さず、SJLマウスは、非常にマイルドな病態を呈す。二重変異マウスは、SJLマウスより悪化した病態を示した。この結果は、Hpマウスでは、極軽度の膜脆弱指が生じているが、ジスフェルリン依存の膜修復能によって、発症に至らないことを示唆している。つまり、ジストログリカン依存の細胞膜強度とジスフェルリン依存の膜修復システムは、トランスポートソームの恒常性に重要であることが示された。現在、ジストログリカン機能をHpマウスより低下させた筋特異的フクチンノックアウトマウスを解析中であり、これらのマウスにおいて発現量に変化をきたすトランスポートソーム成分を同定する予定である。また、ジスフェルリン含有膜標品のプロテオミクス解析を行い、膜修復機構の解明のみならず、膜輸送分子の機能発現・調節機構の理解を目指す予定である。
|
Research Products
(1 results)