2008 Fiscal Year Annual Research Report
NCX分子複合体の生体膜ミクロドメイン集積機構の解析
Project/Area Number |
20056030
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
岩本 隆宏 Fukuoka University, 医学部, 教授 (20300973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜多 紗斗美 福岡大学, 医学部, 講師 (10461500)
荒井 勇二 福岡大学, 国立循環器病センター研究所・バイオサイエンス部, 室長 (30202724)
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Keywords | Na^+ / Ca2^+交換輸送体 / TRPCチャネル / 膜分子複合体 / 血管収縮 / 遺伝子改変マウス / 細胞内Ca2^+シグナル |
Research Abstract |
Na^+/Ca^<2+>交換輸送体(NCX)は、種々Ca2^+シグナルの形成および細胞内Ca2^+ホメオスタシスの維持に関わる重要なCa2^+輸送体である。これまでに、私たちは遺伝子改変マウスおよび薬理学的ツールを駆使して、血管平滑筋細胞においてNCX1がNa^+,K^+-ATPaseα2やTRPC3チャネルと膜輸送複合体を形成し(機能連関)、Ca^<2+>流入系として働くことにより、食塩依存性高血圧の発症やα1受容体刺激時の血管収縮(血管スパスム)に重要な役割を果すことを示した。本研究では、この機能発現の場となるNCX1膜輸送複合体の細胞膜ミクロドメイン集積部位を同定し、さらにその複合体形成・膜集積制御機構を解明することである。私たちは、本研究の糸口として、NCX1の膜局在を生細胞で感度良く観察する実験系を確立した。すなわち、NCX1のN末端細胞外領域にc-mycエピトープを挿入し、NCX1の生理的機能を損なわずに細胞膜表面上のNCX1のみを蛍光標識myc抗体で可視化する方法を考案した。この手法により繊維芽細胞を染色したところ、NCX1の細胞膜局在部位がクラスター状に可視化されることを見いだした。また、腎尿細管細胞におけるNCX1の基底膜側へのソーティング機構を解明する目的で、NCX1の細胞内ドメインと相互作用する蛋白質をスクリーニングし、新たなアダプター蛋白質(scaffold蛋白質)を同定した。今後、これらの研究成果を発展させることにより、NCX膜分子複合体の形成・膜集積機構および機能制御の全容の解明を目指したい。
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