2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳内において樹状突起ガイダンスを制御する細胞外環境
Project/Area Number |
20057003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
千原 崇裕 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 助教 (00431891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 正幸 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (50202338)
石田 信宏 千葉科学大学, 危機管理学部, 教授 (20291148)
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Keywords | 細胞外環境 / 樹状突起 / 軸索 / モザイク解析 / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
神経ネットワークを形成するそれぞれの神経細胞は、様々な「細胞外環境」を適切に認知することによって最終的に適切な相手(神経細胞や筋肉など)を見つけ出し、そこへ軸索、樹状突起を伸ばす。よって、神経ネットワークの形成機構を理解するためには、神経突起(軸索、及び樹状突起)による「細胞外環境」認識メカニズムの分子機構を解明する必要がある。 本研究では、神経突起の、特にこれまで解析が困難であった樹状突起による「細胞外環境」認識メカ子ズム解明を目的に研究を行う。まず、樹状突起の形態を生体内で1細胞レベルの解像度で可視化・解析するために、ショウジョウバエの嗅覚系2次神経・Projection Neuron(以下PNと省略)をモデル系とし、遺伝学的モザイク法を用いてスクリーニングを行った。平成20年度は、このスクリーニングによって得られた樹状突起投射変異体、特にmeigo(medial glomeruli)変異体の原因遺伝子の機能解析を行った。 PNをmeigo変異ホモ接合体にすると、すべての樹状突起投射が脳の正中線側にシフトするという興味深い表現型を示す。遺伝学的マッピングにより、meigo変異体の原因遺伝子は糖核酸トランスポーター様の構造を持つ8回膜貫通型の膜蛋白質をコードする事が明らかになっていた。PN樹状突起投射過程におけるMeigo蛋白質の機能を解析する目的で、Meigo蛋白質を生体内で過剰発現するためのトランスジェニックショウジョウバエ(UAS系統 : UAS-meigo系統)を作出した。このUAS-meigo系統を用いてmeigoホモ接合PNにだけmeigo遺伝子を強制発現させたところ、PN樹状突起の表現型はほぼ完全に回復した。これは、Meigo蛋白質が、PN樹状突起投射に関して細胞自立的に機能していることを示唆している。更に、抗Meigo抗体を用いることにより、内在性Meigo蛋白質は小胞体、およびゴルジ体に局在していることを明らかにした。今後は、遺伝学的解析に加え生化学的機能を進めることにより、Meigo蛋白質による樹状突起投射の制御機構に迫っていきたいと考えている。
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Research Products
(9 results)