2008 Fiscal Year Annual Research Report
成体脳内における新生ニューロンの長距離・高速移動を可能にする細胞外環境
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20057023
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| Research Institution | Nagoya City University |
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Principal Investigator |
澤本 和延 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 教授 (90282350)
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| Keywords | 再生医学 / 神経科学 / 脳・神経 / 脳袖経疾患 / 発生・分化 |
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| Research Abstract |
成体脳において側脳室周囲の脳下帯で産生されたニューロンは、嗅球での長距離を、RMSと呼ばれるアストロサイトに被覆される経路を通って移動している。また、脳傷害時には、新生ニューロンの一部は傷害部に移動し、ニューロンを再生する。これら各々の現象に関わる細胞外環境について、以下の解析を行った。
1)我々はこれまでに、分泌性蛋白質Slitが成体脳のRMSを移動する新生ニューロンに発現し、その移動に関与していることを明らかにしてきた。本年度は、Slit遺伝子ノックアウト(KO)マウスを用いてSlitの役割について解析を行った。Slit KOマウスと野生型マウスの新生ニューロンを、それぞれの培養スライスのRMSに移植する実験から、slitが新生ニューロンと細胞外微小環境との相互作用に関与し、その移動を制御していることを明らかにした。また、電子顕微鏡解析および培養アストロサイトを用いた実験から、Slitがアストロサイトに忌避的に作用し、Slit KOマウスのRMSではアストロサイトの突起が新生ニューロンの移動経路に侵入していることを明らかにした。これらの結果は、新生ニューロンの産生するSlitが、RMSのアストロサイトの形態・分布を変化させて、新生ニューロンの移動を制御していることを示唆するものである。
2)また、我々はこれまでに脳梗塞後に梗塞巣付近に出現する新生ニューロンは血管に沿って分布していることを報告した。本年度の研究では、血管・新生ニューロンをそれぞれ異なった蛍光色素で標識することにより、培養切片内を移動する新生ニューロンと血管の関係をタイムラプス撮影法により解析した。これにより、新生ニューロンが血管に沿って移動していることが明らかになった。
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