2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20057026
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
穂積 勝人 Tokai University, 医学部, 准教授 (30246079)
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Keywords | 胸膜 / 骨髄 / 骨芽細胞 / Notch / Jagged1 |
Research Abstract |
報告者はこれまで、T細胞の分化環境としての胸腺の役割を分子レベルで理解することを目的として、T細胞分化誘導におけるNotchシグナルの重要性と、シグナルを誘導するNotchリガンドについて研究してきた。その結果、胸腺環境の特殊性は、胸腺上皮細胞に発現するNotchリガンド : D114にて説明されることを報告した。 本年度は、骨髄環境と胸腺環境の差異について、Notchリガンドとの関連から理解することを目的として、骨髄分化環境を担う骨芽細胞に発現するJagged1について解析した。正常マウス骨内膜に存在する骨芽細胞上にJagged1の発現が認められた。これに対し、生後、Jagged1遺伝子欠失を誘導したマウスでは、骨芽細胞上のJagged1の発現が消失した。このマウスに、GFP陽性骨髄由来造血幹細胞(KSL細胞)を移植し、その幹細胞画分の性状の変化を調べたが、対照群と比較し、顕著な差は認められなかった。この結果から、骨芽細胞上でのJagged1の発現は、造血幹細胞の維持に必須ではないことが明らかとなった。一方、Jagged1消失マウスにて物理的骨髄破壊処置を行うと、間葉系細胞による骨髄腔の早期骨化(骨髄破壊後1-2週)が遅れ、その吸収過程(同4週)がほとんど機能せず、骨髄腔の縮小に至ることを観察した。このことは、骨形成の活性化とその吸収過程において、骨芽細胞上のJagged1を介したNotchシグナルカが、その制御に重要な役割を担っていることを推測させた。今後、骨芽細胞系列を含む間葉系細胞にて効率良く遺伝子欠失を誘導する各種Cre-Tgマウスを用い、Jagged1の骨代謝における機能について検討する。
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