2009 Fiscal Year Annual Research Report
弾性線維の形成と老化におけるDANCE/fibulin-5の役割
Project/Area Number |
20057028
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
中邨 智之 Kansai Medical University, 医学部, 教授 (20362527)
|
Keywords | 弾性線維 / 細胞外マトリックス |
Research Abstract |
弾性線維は、伸び縮みする臓器・組織(動脈・肺・皮膚など)に多くあって、その弾性を担っている。老化による動脈中膜の硬化、肺気腫、皮膚のたるみなどは弾性線維の劣化・断裂によるものであり、弾性線維再生に向けて弾性線維形成機構の解明は重要な課題である。申請者は弾性線維形成に必須のインテグリンリガンド、DANCE(fibulin-5ともいう)を発見した。さらに、線維芽細胞の無血清培養系にDANCEタンパクを加えるだけで弾性線維の形成が誘導されること、DANCEのアミノ末端がin vitro, in vivoにおいてプロテアーゼによる切断を受けて不活性型になることを見出した。加齢マウス皮膚では全長DANCEが著明に減少しており、切断型DANCEの増加を認めた。本研究では、DANCEの切断が生体内でどんな意味を持っているのかを切断型DANCEノックインマウスを用いて明らかにすることを目的とする。切断型DANCEノックインマウスは皮膚のたるみ、肺胞の拡大、動脈の硬化を来たし、DANCEノックアウトマウスとよく似た表現型を示した。これらの組織では弾性線維の形成不全を認めた。したがって、切断型DANCEは不活性型であり、老化による全長DANCE減少と切断型DANCE増加は組織の弾性線維再生能低下を意味しているというコンセプトが生体内でも正しいことがわかった。ただし切断型DANCEノックインマウスの表現型はDANCEノックアウトマウスと比べると弱いので、切断型DANCEにも何らかの役割があるものと考えられる。
|
Research Products
(15 results)