2008 Fiscal Year Annual Research Report
オーファン核内受容体LRHー1によるES細胞の増殖制御機構
Project/Area Number |
20058011
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小出 寛 Kanazawa University, 医学系, 准教授 (70260536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 崇 金沢大学, 医学系, 教授 (50134622)
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Keywords | 幹細胞 / 細胞周期 / シグナル伝達 / 発現制御 / 発生・分化 |
Research Abstract |
内部細胞塊から樹立された多分化能を持つ細胞株である胚性幹細胞(ES細胞)は、未分化状態では増殖速度が早く非常に短いG1期を持つが、分化させるとG1期の伸長が起き、それとともに増殖速度も低下するという特性を持つ。これまでの研究から、未分化なES細胞に見られる特徴的な増殖の原因の1つはcyclin E/Cdk2複合体の恒常的な高活性状態にあると考えられている。未分化なES細胞ではcyclin E/Cdk2とE2Fがpositive feedback loopを形成して互いの活性を常に高い状態に維持しているが、分化したES細胞では、このpositive feedback loopが崩れて活性が低下し、それとともにG1期が伸長されていく。これは分化の際にcyclin Eの発現量が低下するためであると考えられているが、何がcyclin Eの発現減少の引き金となるのかは不明であった。最近、小腸のクリプト細胞においてオーファン核内受容体である転写因子LRH-1がcyclin Eの発現制御を行なっているという報告があったことから、未分化なES細胞の増殖速度や細胞周期の制御にLRH-1が関与している可能性を検証した。まずES細胞におけるLRH-1の発現様式を調べたところ、LRH-1が未分化状態のES細胞に特異的に発現していることを見い出した。さらにES細胞においてLRH-1の発現を抑制してみたところ、ES細胞の増殖速度の低下が観察された。そこでLRH-1の下流で細胞増殖制御に関与している細胞周期関連分子の探索を行った結果、Cdk2やcyclin Eの発現がLRH-1によって制御されている可能性を見い出した。現在、LRH-1によるこれらの分子の発現調節機構を解析中である。
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Research Products
(8 results)