2008 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞の活性を支持するGemininの分子制御機構の解析
Project/Area Number |
20058025
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
瀧原 義宏 Hiroshima University, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (60226967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大坪 素秋 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (10211799)
安永 晋一郎 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (50336111)
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Keywords | 造血幹細胞 / Geminin / ポリコーム複合体1 / HOXB4 / E3ユビキチンリガーゼ / 自己複製 |
Research Abstract |
造血幹細胞はすでに医療として確立している造血幹細胞移植療法に利用され、白血病をはじめとした難治性造血器疾患の治療に威力を発揮している。しかし、造血幹細胞の活性やその増幅を支持する分子基盤については、まだ充分な理解は得られておらず0造血幹細胞をex vivoで増幅することにも未だ成功していない。 本研究では、ノックアウトマウスやレトロウイルスベクターを駆使して、造血幹細胞の活性を支持する細胞内因子としてポリコーム複合体1が必須な役割を果たしていることを明らかにするとともに、ポリコーム複合体1と、すでに造血幹細胞の増幅因子として知られているHOXB4が共にDNA複製制御因子であるGemininに対するE3ユビキチンリガーゼとして機能していることを独自に証明した。そして、造血幹細胞の自己複製の誘導や活性化にGeminin制御が根幹的な役割を果たしていることを初めて明らかにした。従来、ポリコーム複合体1とHOXB4はいずれも転写制御因子として理解されており、造血幹細胞の自己複製能を含めた活性化制御機構として転写制御ネットワークに注目した研究が進められてきた。しかし、本研究によって、転写制御だけでなくDNA複製制御とクロマチンリモデリングを同時に制御するGemininを幹細胞制御の根幹的因子として捉えることが可能となり、今後の幹細胞を支持する分子基盤の解明とそれを利用した再生医学の発展に対して重要な手掛かりを提供すると考えられる。
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