2008 Fiscal Year Annual Research Report
増殖と分化のスイッチング:神経細胞における細胞周期制御の解明。
Project/Area Number |
20058029
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
広常 真治 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 教授 (80337526)
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Keywords | 細胞骨格 / 染色体分離 / 細胞周期 / 発がん |
Research Abstract |
1 LIS1による細胞質ダイニンの制御機構の解明。 我々は精製タンパク質を用いてHS1、Ndel1存在下で細胞質ダイニンの活性測定を行った。その結果、LIS1は細胞質ダイニンの抑制因子であり、Ndel1はその抑制を解除する働きがあることが分かった。さらにこのLIS1、Ndel1の機能は細胞質ダイニンが微小管のプラス端に運ばれるリサイクルの機構に密接に結びついていることが分かってきた。これらのことからHS1、Ndel1は細胞質ダイニンのリサイクルに必須の因子であることが分かった。特に、LIS1は微小管上に細胞質ダイニンを固定し、微小管-LIS1-細胞質ダイニンの複合体が形成され、この複合体がキネシンによって微小管のプラス端に運搬されることを証明した。 2 細胞極性の制御と細胞増殖の解明。 我々はNdel1がCDK1やAuroraAによってリン酸化され、これが微小管ネットワークのコントロールと密接に結びついていることを明らかにした。我々は背側神経根細胞を用いた神経突起進展の観察から神経細胞の極性決定と神経突起の進展に先んじてAuroraAが進展部位でクラスターを形成し強く活性化し、さらにNdel1のリン酸化することが分かった。またこのAuroraA-Ndel1のクラスターはaPKCの集積に一致しており、この部分の障害は神経細胞の生存を著しく阻害することが分かった。また同部位は中心体と全く異なっており、新たなMTOCとして機能し、神経突起における微小管ネットワーク形成の中心となるごとが分かった。本計画ではこのクラスター形成のメカニズムと細胞極性の制御、神経突起進展の関連を明らかにする。
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