2008 Fiscal Year Annual Research Report
スピンドルチェックポイントの制御機構-力計測・分子操作・顕微動態解析による研究-
Project/Area Number |
20058035
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
板橋 岳志 Waseda University, 理工学術院, 講師 (20434384)
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Keywords | 細胞分裂 / 細胞骨格 |
Research Abstract |
生体をとりまく物理的な環境とその変動は、発生・分化・増殖など、多くの細胞の機能発現や制御機構に関わっている。本研究では、正確な染色体分配を制御するスピンドルチェックポイントの解除シグナルとなる、"物理的な力"を定量化することで、この"物理的なシグナル"から"生化学的シグナル"への伝達機構、及びそのフィードバック機構の制御を明らかにすることを目的としている。 今年度は、ガラス微小針やピエゾ抵抗カンチレバーを用いて、アフリカツメガエル卵抽出液中で形成させた中期紡錘体の顕微操作及び力測定法の確立と、様々な力学的負荷をかけた時の紡錘体の応答、キネトコア動態について、検討した。以下に、その結果を箇条書きにする。 (1) in vitro紡錘体の顕微操作及び力測定法の確立 ピエゾ抵抗カンチレバーまたは、微小ガラス針を用い、紡錘体の極間軸及びそれに直行する軸方向に、紡錘体を圧縮または伸張させたときの紡錘体の力学的性質(硬さ、弾性変形、塑性変形、粘弾性的性質)について、論文及び学会にて発表し(Itabashi et.al., Nature Methods, 2009)、定量的な紡錘体の顕微操作法及び力測定法を確立した。 (2) 力学的負荷による微小管ダイナミクス及びキネトコア動態の解析 上記の確立した力学的顕微操作のみによって、紡錘体のサイズを変化させた時の微小管のダイナミクス変化(微小管量、紡錘体極方向への微小管の流れの速度変化等)を定量的に解析した。また、キネトコアを蛍光イメージングするために、キネトコア局在タンパク質に対する抗体や、スピンドルチェックポイントに関わるリコンビナントタンパク質などを作製した。これらを蛍光イメージングに用いることによって、特に、キネトコア動態の変化(キネトコア間距離)を精査し、キネトコア間に張力がかかる最適な負荷量を現在見積もっている。
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