2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20058040
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
石井 俊輔 The Institute of Physical and Chemical Research, 石井分子遺伝学研究室, 主任研究員 (00124785)
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Keywords | 細胞周期 / B-Myb / 転写 / 細胞分裂 / 紡錘体 / クラスリン / カップリング / 転写因子 |
Research Abstract |
動物細胞のMybファミリー転写因子は、c-Myb,A-Myb,B-Mybを含み、細胞増殖と分化に重要な役割を果たしている。 c-Mybは、未分化造血細胞で発現が高く、細胞周期のGl/S期の移行に必要な遺伝子や、アポトーシスを防ぐ遺伝子の転写を誘導し、細胞増殖を促進する。一方、B-Mybはほとんどすべてのタイプの細胞で発現しており、細胞周期のG2/MS期の移行に必要な遺伝子の転写を誘導する。このように、Mybファミリー転写因子は、転写因子として細胞周期進行に必要な遺伝子の転写を誘導し、細胞増殖を正に調節する。私達は、B-Mybのさらに詳細な作用メカニズムを理解するため、B-Mybを含む複合体を精製し、その中にクラスリンとフィラミンを含むことを見出した。そして、この複合体がクラスリンを紡錘体に運搬し、紡錘体形成を介して、細胞分裂を制御することを明らかにした。また、この複合体の機能を阻害すると、多倍体形成や染色体異常が誘導されることも見出した。このように、B-MybはG2/MS期の移行に必要な遺伝子の転写を誘導すると共に、紡錘体形成を介して、細胞分裂を制御する機能も有することが初めて示された。このMybの2つの異なる機能は、細胞増殖と細胞分裂をカップリングさせて進行させる役割を果たしていると、私達は推定している。さらにB-Myb複合体の精製過程で検出された特異的なリン酸化酵素が、B-Mybに結合し、B-Mybをリン酸化することを見出した。このキナーゼによるB-Myb機能の制御の解析が、今後重要である。
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