2009 Fiscal Year Annual Research Report
染色体構築因子コンデンシンの細胞周期特異的活性の探索・解析
Project/Area Number |
20058041
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
木下 和久 The Institute of Physical and Chemical Research, 平野染色体ダイナミクス研究室, 専任研究員 (60447886)
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Keywords | 細胞周期 / 染色体 / クロマチン / 細胞分裂 |
Research Abstract |
真核生物の遺伝情報を担うゲノムDNAは、細胞周期M期において凝縮した一対の姉妹染色体としてスピンドルのはたらきによって子孫細胞に分配される。正確な遺伝情報の継承のプロセスにはゲノムDNAの可逆的な構築変化が不可欠であり、この染色体構築の過程において中心的な役割を果たすのがコンデンシンと呼ばれる五つのサブユニットからなる巨大な分子複合体である。染色体構築のメカニズムの解明には、その中心的プレーヤーであるコンデンシンがどのような分子活性を持って機能しているのか理解することが重要であるが、その分子機能についてはまだ不明な点が多い。特定の分子の生化学的活性の解析には通常組換え体を用いたin vitroにおける再構成実験系が有効である。組換え体からなるコンデンシン複合体についてもこれまで既に試みはなされているものの巨大な複合体ゆえに発現が容易でなく、in vitroの生化学的解析に用いるのに十分な複合体はまだ得られていなかった。そこで本研究では、バキュロウイルスの昆虫細胞発現系を用いて組換え体サブユニットからなる活性型コンデンシン複合体の再構成を試みた。新たに作製した発現コンストラクトにいくつかの改良を加え条件検討した結果、五種類のサブユニットを同時に効率よく発現できる発現系の構築に成功した。現在まだ部分精製の段階ではあるものの、この発現系によって組換え体コンデンシンの二種類のポロ複合体コンデンシンIとコンデンシンII、あるいは二つのSMCサブユニットからなるコアニ量体についてin vitroでの詳細な解析の実現が可能になった。さらに組換え体に変異を導入することにより、これまで解析困難であったコンデンシンのATPase活性の役割の解明等につながることが期待され、染色体構築の分子メカニズムの理解を大きく前進させるであろう。
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