2009 Fiscal Year Annual Research Report
受精卵における減数分裂期膜タンパク質の選択的分解による細胞内秩序維持システム
Project/Area Number |
20059007
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐藤 健 Gunma University, 生体調節研究所, 教授 (30311343)
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Keywords | 線虫 / C.elegans / 受精 / 分解 |
Research Abstract |
卵母細胞は第一減数分裂の進行に伴い,分化,成熟し,その後,精子と受精する.受精後,役割を果たした減数分裂期の細胞質タンパク質は選択的に分解され,胚発生に向けた細胞内環境のダイナミックなリモデリングが起きる.申請者らはこれまでの研究からC.elegansの生殖腺においてはたらく一群の減数分裂期膜タンパク質が受精後に同調的に細胞内にエンドサイトーシスされ,分解されることを明らかにしている.本年度はまず受精後に分解されるものとされないものの違いについて細胞生物学的に検証した.その結果,受精直後の細胞質において一過的にタンパク質の大規模なユビキチン化が起きることが明らかとなった.このことから,受精後には減数分裂期の進行に連動した形で不要な細胞質成分の選択的なユビキチン化と分解が起きていると予測された.そこで,これらの知見に基づき,受精後のCAV-1-GFPの分解に関連する因子についてRNA干渉法(RNAi)により網羅的に探索したところ,膜結合型ユビキチンリガーゼであるMARCH familyの線虫ホモログが関与することを見出した.このタンパク質は膜貫通領域を2か所もつRING-CH型ユビキチンリガーゼであり,哺乳類ではMHC class IIタンパク質などのダウンレギュレーションに関与することが示唆されている.興味深いことに,線虫ホモログは受精前は表層顆粒上に存在し,受精後に一斉に細胞膜へと輸送されることが明らかとなった.このことから,この線虫ホモログの活性は受精によって時空間的に制御されている可能性が示唆された.
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