2009 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体関連分解(ERAD)制御による蛋白分解ストレスの軽減と細胞保護
Project/Area Number |
20059014
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
堀 修 Kanazawa University, 医学系, 教授 (60303947)
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Keywords | 脳神経疾患 / 遺伝子 / ストレス |
Research Abstract |
H20年度の研究から、ERAD分子Herpのノックダウン・ノックアウト細胞では野生型細胞に比べて細胞質内プロテアソーム基質でありパーキンソン病関連蛋白質であるsynphilin-1及びα-synucleinの分解が促進する事、同細胞はプロテアソーム阻害剤に対して野生型細胞より耐性であることが明らかになった。H21年度はそのメカニズムを解明すると共に、新たにHerpノックアウトマウスを用いて、Herpの発現がパーキンソン病モデルにおいて与える影響を検討した。 (1) Herp結合タンパク質の同定:免疫沈降法により、Herpと種々のタンパク質の結合について検討した。その結果、Herpはsynphilin-1及びα-synuclein、E3リガーゼSIAHとは一過性に結合するものの、プロテアソーム自身とは結合しないことが明らかになった。また、Herpをノックアウトしてもプロテアソームの活性自身は変化しなかった。これらのことから、Herpはユビキチン化のステップでsynphilin-1及びα-synucleinの分解を制御している可能性が示唆された。 (2) Herpノックアウト細胞を用いた検討:マウスにパーキンソン病関連神経毒MPTPを投与すると、数日以内に黒質緻密層においてドーパミン神経が変性する。野生型及びHerpノックアウトマウスにMPTPを投与したところ、野生型マウスに比しHerpノックアウトマウスで神経変性が軽度であった。更に、時間経過を追って検討したところ、MPTP投与後8時間から24時間の間に、Herpノックアウトマウスにおける酸化ストレス及びα-synucleinの集積が減少する事が明らかになった。これらの結果から、Herpノックアウトマウスではα-synucleinを含む酸化ストレス関連タンパク質の分解が促進し、結果として神経が保護された可能性が示唆された。
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