2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内プリオンタンパク質の立体構造、ダイナミクス、及び立体構造変換反応の解明
Project/Area Number |
20059016
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
桑田 一夫 Gifu University, 人獣感染防御研究センター, 教授 (00170142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 圭一 岐阜大学, 人獣感染防御研究センター, 学術研究補佐員 (90432187)
武藤 淳二 岐阜大学, 人獣感染防御研究センター, 助教 (80432186)
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Keywords | プリオン / in vivo NMR / 立体構造 / ダイナミクス / 構造変換 |
Research Abstract |
プリオンの立体構造やダイナミクスは、現在まで主に溶液中または結晶中で決定がなされてきた(Kuwata et.al., Biochemistry, 2001, 2003)。近年に至り、細胞外でもラフトの周辺でかつ、膜にアンカーしたプリオンに対して構造変換反応が起きることが分かってきた。さらに、標識したプリオンを細胞に注入すると、ゴルジ装置周辺への集積などが見られる。プリオンが細胞内において特異的な挙動を示すことは、プリオンが何らかの特異的な構造を有し、細胞内過程がプリオンの毒性・感染性に関連を有する可能性を示している(Kuwata et.al., Proc. Natl Acad. Sci., U. S. A., 2003)。本研究では、細胞内におけるプリオンの立体構造を解析し、その動的性質や生理機能、毒性発現メカニズム、細胞内局在と立体構造との相関などを解明する。また、抗プリオン薬の作用機構を細胞内トラフィッキングの観点から明らかにする。 本年は、リコンビナント・プリオンタンパク質を蛍光物質であるCy3でラベルし、培養神経細胞(GT1-7)にマイクロインジェクションし、蛍光顕微鏡で観測することに成功した。また、アフリカツメガエルの卵母細胞の抽出液に、タンパクを溶かした100mM nmr buffer(pH4.5, protease inhibitor & NaN3)を混ぜて、NMR測定サンプルを調製(final 90μM protein)し、細胞内環境に近い状態のプリオンのNMRスペクトルを観測することに成功した。タンパク質の沈澱のために信号強度は減少したが、プリオンのNMRスペクトルを観測する事ができた。プリオンタンパク質は、他の細胞内蛋白質等と相互作用するため、非常に多くの残基に化学シフトの変化が観測された。しかし、興味深いことに、ピークのブロードニングなどはなく、運動性に関しては、水溶液に近い状態で存在していることが分かった。
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