2008 Fiscal Year Annual Research Report
内包膜プロテイントランスロケーターによるプラスチドの機能発現とその制御機構の解析
Project/Area Number |
20059022
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中井 正人 Osaka University, 蛋白質研究所, 准教授 (90222158)
|
Keywords | 葉緑体 / プラスチド / 生合成 / 蛋白質輸送 / 蛋白質膜透過 / オルガネラ / 膜蛋白質複合体 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
葉緑体を構成する蛋白質の多くは前駆体として細胞質ゾルで合成された後、プラスチドへと輸送される。この輸送にはプラスチド外包膜および内包膜に存在する蛋白質膜透過装置、TocとTicが関与している。われわれは、特に、プラスチド内包膜の蛋白質膜透過装置Ticが、2000-3000種類とも言われる様々な葉緑体蛋白質を正しく認識し輸送していくのか、分子生物学・生化学・細胞生物学・分子遺伝学などの様々な手法を用いて明らかにすることを目的とする0これまでの解析の成果のひとつは、また、これまで、光による輸送の制御は、ないと考えられてきたプラスチド包膜における蛋白質輸送過程において、前駆体蛋白質によっては、光照射下と非照射下において、輸送特性が大きく異なる蛋白質群が存在することを明らかにし、また、異なる器官から単離したプラスチドでも輸送特性に明確な差異が見られることを突き止めた。そして、これらの輸送制御が内包膜の輸送装置の段階で行なわれていることを示した。さらに、シロイヌナズナ・エンドウ・トウモロコシ外包膜および内包膜の既知の輸送装置のコンポーネントに関しては抗体を用いた比較解析等を進めてきた。その結果内包膜の蛋白質輸送装置に関してはこれまで中心的役割を担うと考えられてきたTic110分子は、むしろストロマ側で分子シャペロンと共に膜透過後期過程に関与し、その前段階としておよそ1MDaの内包膜透過チャネル複合体が存在することを見いだした。この新奇Tic複合体に内包膜での輸送制御の鍵を握るコンポーネントとしてTic20が含まれていることを明らかにした。得られた実験結果より、異なるTic20イソログが異なる植物器官が機能しており、輸送の選択性やプラスチド分化、ひいては器官のアイデンティティの確立に寄与している可能性を提唱し、その生理的意義に関して現在検証を進めている。
|
Research Products
(5 results)