2008 Fiscal Year Annual Research Report
βアミロイドの産生、輸送、凝集に対する分子シャペロンの効果
Project/Area Number |
20059026
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
水島 徹 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (00264060)
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Keywords | βアミロイド / HSP70 / βセクレターゼ |
Research Abstract |
我々はAPPを過剰発現させた神経細胞を用いて、βアミロイドの産生を試験管内で測定する系を確立した。またこの系を用いて、プロスタグランジン受容体の阻害薬がβアミロイドの産生を抑制することを見出した(Hoshimo et.al. J Biol Chem 2007)。そこでこの系において種々の分子シャペロンを過剰発現させ、βアミロイドの産生を抑制する分子シャペロンを検索する。その結果、HSP70がβアミロイドの産生を抑制することを見いだした。βアミロイドの産生抑制機構として、セクレターゼ活性の阻害、及びネプリライシンによるβアミロイドの分解の促進が考えられたので、そのいずれかであるかを検討した。その結果、βセクレターゼによるAPP切断の阻害が原因であった。そこでHSP70がAPPの細胞内輸送に影響を及ぼしている可能性があるので、APPの輸送に対するその分子シャペロンの効果を調べた(我々は、小胞体からゴルジ体へのAPP輸送の阻害によりβセクレターゼによるAPP切断が抑制されること、及びエンドソームによるAPPの細胞内再輸送の阻害によりγセクレターゼによるAPP切断が抑制されることを報告している(Hoshimo et.al. Biochem J 2007)。具体的には、小胞体からゴルジ体への輸送、ゴルジ体から細胞質膜への輸送、細胞質膜からエンドソームへの輸送(細胞質膜の陥入による、膜蛋白質の内在化)、エンドソームからリソソームへの輸送、エンドソームから細胞質膜への逆輸送(リサイクリングエンドソーム依存)、それぞれの輸送に対するHSP70の効果を調べると共に、HSP70がその部位においてAPPと結合しているかを調べた。その結果、HSP70が細胞質膜からエンドソームへの輸送(細胞質膜の陥入による、膜蛋白質の内在化)を抑制していることを見いだした。
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