2008 Fiscal Year Annual Research Report
Importin βファミリー分子が創りだす細胞内分子流通システムとその機能解析
Project/Area Number |
20059038
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小瀬 真吾 The Institute of Physical and Chemical Research, 今本細胞核機能研究室, 専任研究員 (90333278)
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Keywords | 核内移行 / Importin / 分子シャペロン / 熱ショック |
Research Abstract |
Importinβファミリー運搬体分子が創りだす核-細胞質問分子流通システムの解析を行っている。本年度は、定量的プロテオーム解析による輸送基質同定のための基礎実験と、熱ショック時における輸送システム変化を分子シャペロンHsc70に焦点をあてて解析した。 1)新しい輸送基質同定システムの構築 In vitro輸送系で、Importinβファミリー運搬体が担う特定の輸送経路のみを再構築後、核内存在量が変化したタンパク質を定量的質量分析により輸送基質候補として同定する。本年度は、核内移行の反応条件や反応後の核からの抽出条件等の検討を進めた。 2) Hsc70運搬体分子の同定と輸送経路解析 熱ショック時には、通常の塩基性核局在化シグナル依存的な核内移行は強く阻害されるが、分子シヤペロンHsc70などは速やかに細胞質から核内に移行する。熱ショック処理したHeLa細胞からの抽出液をin vitro輸送系に用いることで、熱ショック応答時のHsc70核内移行を再構築することが出来る。そこで、熱ショック処理した細胞抽出液から、Hsc70核内移行を促進する活性の分離精製を進めた。 Hsc70核内移行を促進する活性は、Importinβファミリー分子が濃縮された分画には認められず、Hsc70核内移行活性と強い相関が見られる新たなタンパク質の存在を明らかにした。 LC-MS/MSにより、この分子は、進化的に高度に保存されているが、機能未知であることが判った。リコンビナントタンパク質を用いた解析から、この分子は、Hsc70/Hsp70と効率よく結合し、Hsc70の核内移行を促進する活性をもつことを確認した。
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