2009 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫寛容を誘導するNF―κB活性化シグナル制御機構の解明
Project/Area Number |
20060006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋山 泰身 The University of Tokyo, 医科学研究所, 准教授 (50327665)
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Keywords | 免疫学 / シグナル伝達 / 細胞・組織 / アレルギー・ぜんそく / 発現制御 |
Research Abstract |
免疫寛容の成立に必須である自然発生型の制御性T細胞は胸腺で分化する。しかし胸腺内における制御性T細胞分化の分子基盤は不明な点が多い。これまでにNF-κBを活性化するシグナルが胸腺内の制御性T細胞の分化に関与することが明らかとなったが、その活性化を誘導する分子機構は不明であり、本研究はその解明を目指した。本年度は特に、シグナル伝達因子であるTRAF6が、胸腺細胞においてどのような機構で制御性T細胞の分化を決定するのか検討した。 TRAF6欠損マウスより胸腺細胞を調製し、PMAとIonomycinで処理したところ、NF-KB活性化の指標であるIκBαのリン酸化が野生型に比べてほとんど起きないことが判明した。さらにJNKやp38などMAPK経路もほとんど活性化しなかった。また胸腺細胞に抗CD3抗体および抗CD28抗体を処理してT細胞抗原受容体を活性化させたところ、野生型では誘導されるIκBαのリン酸化やJNKのリン酸化もTRAF6欠損細胞ではほとんど起きなかった。一方、T細胞抗原受容体複合体でシグナルを伝達するPLCγなどの活性化は全く異常がなかった。以上の結果は、TRAF6はT細胞抗原受容体のシグナルを伝達することでNF-κBやMAPKの活性化を制御する因子であることを示唆している。NF-κBの活性化は制御性T細胞の分化に必須である。すなわちTRAF6は胸腺細胞で機能してNF-κBの活性化を誘導することで制御性T細胞への分化を決定する因子であることが強く示唆された。現在、その標的因子の候補をマイクロアレイなどにより同定することを目指し、それらの条件検討を行っている。
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Research Products
(21 results)