2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20060009
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
峯岸 克行 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (10343154)
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Keywords | 原発性免疫不全症 / アトピー性皮膚炎 / STAT3 / IL-17 / 黄色ブドウ球菌感染症 / ケモカイン / 抗菌ペプチド |
Research Abstract |
高IgE症候群は、黄色ブドウ球菌などの細胞外寄生菌による皮膚と肺の易感染性に難治性湿疹・血清IgE高値を合併する原発性免疫不全症である。最近我々は高IgE症候群の主要な原因遺伝子がSTAT3であることを発見した。今回の研究では、STAT3の分子異常がどのようなメカニズムで皮膚と肺に選択的な黄色ブドウ球菌感染症を引き起こすかを検討した。正常コントロールまたは患児の末梢血より比重遠心法により単核球を分離し、これを抗CD3抗体と抗CD28抗体の存在下で培養し、3日後の上清中の各種サイトカインの濃度をELISA法で検討した。その結果高IgE症候群のT細胞においては、Th17サイトカインの産生が特異的に低下していることが明らかになった。この上清をケラチノサイト、気管支上皮細胞、線維芽細胞、血管内皮細胞、マクロファージに投与して、各種ケモカイン、β-デフェンシンの産生を検討した。線維芽細胞、血管内皮細胞、マクロファージは、古典的炎症性サイトカイン(TNFα, IL-1β, IFNγ)のみで好中球をリクルートするケモカイン(CXCL8, CXCL1)とβ-defensin2, β-defensin3を十分に産生出来るが、ケラチノサイトと気管支上皮細胞においては、これらの抗菌因子の産生が強く低下していることが明らかとなった。本研究は、Th17サイトカインの効果が細胞によって異なることを始めて明らかにしたものであり、このことが高IgE症候群に特徴的な皮膚と肺の易感染性に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(8 results)