2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20060017
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小林 隆志 Keio University, 医学部, 准教授 (30380520)
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Keywords | サトカイン / シグナル伝達 / 自己応答 / T細胞 / cAMP / 免疫抑制 / 樹状細胞 / マクロファージ |
Research Abstract |
本年度は、免疫系の自己応答性を制御するサイトカインネットワークとそのシグナル制御機構の分子基盤を解明するため、1. 自己応答性を規定するヘルパーT細胞の分化・機能を制御するTGFβ/ Smadシグナルの解析、2. cAMP(cvclio adenosine mononhosphate)による樹状細胞(DC)やマクロファージ(Mφ)の活性化抑制機構の解明に取組んだ。 1. TGFβのシグナル伝達倉子であるSmad2およびSmad3の欠損マウスを用いて、in vitroでSmad2あるいはSmad3単独欠損T細胞は、TGF-β刺激によるFoxg3(制御性T細胞の分化制御因子)陽性iTreg(誘導型制御性T細胞)の誘導が減弱し、両欠損T細胞では完全に消失することを見いだした。つまり、Smad2とsmad3は重複性の機能を有し相補的である。一方、炎症性のTh17ヘルパ-T細胞合化では.その分化制御因子であるRORgtのmRNA誘導は、何れのSmad欠損T細胞においても野生型と同等であった.従って、TGF-βシグナルがiTregとTh17の誘導で、それぞれSmad依存性と非依存性であることが初めて明らかとなった。 2. PGE2などの細胞内cAMP濃度を上昇させる生理活性物質は、免疫応答を負に制御することが知られているが、その分子機構は不明である。リボ多糖体(LPS)によるDCやMφの活性化をCAMPが抑制する分子機構が、LPS+cAMP刺激によって発現誘導される転写因子c-Fosによるものであることが明らかとなった。(1)c-Fosは炎症性遺伝子の発現に必須な転写因子NF-κBのp65サブユニットと結合しプロモーター結合を阻害することで炎症性遺伝子の発現を抑制すること、(2)c-FosのmRNAi発現誘導はcAMP刺激のみでおきるが、タンパク質の蓄積にはLPSによるNF-kBの活性化に必須なキナーゼIKKBが必要であること.更に、(3)IKKBはc-Fosタンパク質の308番目のセリンをリン酸化し、c-Fosタンパク質を安定化きせるという新たな知見を得た。炎症性遺伝子の発現に必須のIKKβがc-Fosタンパク質の安定化に寄与することで炎症性遺伝子発現を抑制するという、新規のネガティブフィードバック機構を発見した。
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Research Products
(7 results)