2008 Fiscal Year Annual Research Report
NK細胞受容体を介したHIV由来ペプチドによる免疫制御と構造基盤
Project/Area Number |
20060018
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前仲 勝実 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 准教授 (10322752)
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Keywords | KIR / 細胞表面受容体 / 蛋白質 / 蛋白質間相互作用 / 表面プラズモン共鳴 / HIV / X線結晶構造解析 / 免疫制御 |
Research Abstract |
ウイルス感染の主たる防御は細胞傷害性T細胞(CTL)やナチュラルキラー(NK)細胞である。これらの細胞が最終的に機能しなくなった時点から、重篤な疾患の発症が起きる。主要組織適合性抗原(MHC)を認識するヒトNK細胞受容体Killer cell Ig-like receptor(KIR)群はNK細胞だけでなく、CTLにも発現し、特に抑制型KIR群はこれらの細胞の不活性化に関与すると考えられている。我々はこれまでにKIR群はMHCに提示されるペプチドに依存した認識を示すことを明らかにしてきた。本年度は、英国グループとの共同研究を進め、HIV-1 gp120由来ペプチドの変異が感染者由来のCTLの反応を落とすだけではなく、抑制型KIR2DL1との結合を強くすることがわかり、NK細胞の不活性化も進めることが示唆され、2重免疫逃避機構を提唱した(Thananchai et al AIDS 2009)。さらに、その構造基盤を明らかにするために、HIV由来ペプチドの野生型と変異型について、詳細な相互作用解析と立体構造解析(X線結晶構造解析)に取り組んでいる。大腸菌を用いた発現と巻き戻しにより、KIR2DL1と、HIV由来ペプチドと会合したヒトMHCであるHLA-Cw4を調製した。変異ペプチドを提示したHLA-Cw4とKIR2DL1の複合体の結晶化に成功し、おおよそ2.5Aの高分解能データのデータ収集に成功し、分子置換法による構造決定を現在進めている。他方、HIVゲノムから抽出してきたペプチドライブラリーからのHLA-Cw4結合ペプチドの同定については、約90種類のものについて提示可能かどうかを決定することができた。
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