2008 Fiscal Year Annual Research Report
ITAM受容体-CARD9シグナルの自己免疫病における役割
Project/Area Number |
20060019
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
原 博満 Saga University, 医学部, 准教授 (20392079)
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Keywords | 自然免疫 / 自己免疫疾患 / ITAM / CARD9 / 樹状細胞 / Th17 / NF-κB |
Research Abstract |
CARD9は骨髄糸細胞に発現するITAM受容体を介したNF-κB活性化に必須のシグナル分子である。いくつかの報告は, 骨髄系細胞が発現するITAM受容体と自己免疫疾患の発症との関連を示している。そこで, ITAM受容体-CARD9シグナルの自己免疫疾患の発症, 病態における役割を調べるため, CARD9欠損マウスを用いて(1)コラーゲン誘導関節炎(CIA : 関節リウマチモデル), (2)実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE : 多発性硬化症モデル), (3)DSS誘導大腸炎(潰瘍性大腸炎モデル)を試験した。その結果, (1)CIAの発症率, スコアともWTコントロールにべCARD9欠損マウスは著しく減少し, 関節への細胞浸潤や骨破壊も殆ど起こらないことが判った。(2)EAEの発症率, スコア, 脱髄の状態など, 全てにおいて, CARD9欠損マウスは著しく減少することが判った。(3)CARD9欠損マウスはDSS投与による体重減小が有意に減少し, WTで見られる明らかな大腸の潰瘍も殆ど観察されなかった。(1)(2)に関しては, MOGペプチドあるいはコラーゲン免疫後の所属リンパ節でのTh17の初期分化がCARD9欠損マウスでは著しく減少すること, 逆にTh1の分化は逆に亢進していることが観察され, このTh1/Th17バランスの変化が原因である可能性が考えられた。(3)に関しては, 炎症局所でのIL-23やIL-17Aの産生が著しく抑えられていたことから, やはりTh17の分化誘導不全が原因であると考えられたが, まだ詳しい原因は不明であり, 詳細なメカニズムについては現在検討中である。
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