2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規免疫抑制性サイトカインIL-27による免疫制御機構の解明と治療応用
Project/Area Number |
20060020
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
吉田 裕樹 Saga University, 医学部, 教授 (40260715)
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Keywords | IL-27 / IL-17 / Th17 / 糸球体腎炎 / 自己疫病 / 遅延型過敏反応 / ヘルパーT細胞 / サイトカイン |
Research Abstract |
IL-27はIL-12サイトカインファミリーに属するサイトカインであり、Th1誘導作用に加えて免疫抑制作用を有する。IL-27の持つ免疫抑制作用を主として樹状細胞に関して検討したところ、IL-27受容体を欠損するマウス由来の樹状細胞ではその抑制作用が失われるため抗原提示能が亢進し、抗原でパルスしたこの樹状細胞を個体内に移入することにより腫瘍に対する強い防御免疫を誘導することが出来た。このことから、IL-27シグナルを制御することにより、免疫を増強するアジュバントとしての応用が可能であると考えられ、より効率的な系の構築を試みている。また、このIL-27シグナルによる免疫・炎症抑制作用を、接触型過敏反応の系において確認し、IL-27の治療効果を見いだした。一方、IL-27受容体欠損は、喘息モデルにおいては症状増悪を来したが、同じI型アレルギー疾患である鼻炎モデルでは逆に症状の軽減を認め、IL-27が異なる疾患・臓器において異なる作用を示すことを見いだした。IL-27のサブユニットであるEBI-3欠損MRL/lprマウスは、受容体欠損マウスと同様Th1型の自己免疫反応低下とともに膜性腎炎を発症したが、T細胞に受容体を強発現するMRL/1prマウスでは自己免疫反応の低下と腎炎の軽減を認めた。このことは、IL-27がTh1反応を誘導する作用とともに、免疫抑制作用を持つことを改めて示している。IL-27の持つ免疫抑制作用はIL-10産生を介するとの報告がされているが、IL-10を介さない機構を見いだしており、この詳細を検討している。これらを含め、IL-27の免疫抑制作用を用いた自己免疫性疾患や感染後の過剰な組織炎症への治療応用の可能性を検討している。
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