2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナイーブおよびメモリー型CD8T細胞の分化とDNA複製の統合的制御
Project/Area Number |
20060023
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
佐藤 健人 Tokai University, 医学部, 准教授 (50235363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 和生 昭和大学, 医学部, 教授 (50236569)
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Keywords | 分化 / 複製 / T細胞 / CD8 |
Research Abstract |
T細胞は外来・自己抗原やサイトカイン刺激によってクローンの増大・維持をおこない「免疫系自己」の形成に貢献している。増殖は多くの場合、質の変化を伴う。たとえば、ナイーブT細胞は"ホメオスタシス増殖"によりメモリー様の形質を獲得し、胸腺DN2期に増殖を経た細胞はエフェクターT細胞に、経ない細胞はTreg細胞に分化することが示唆されている。本研究では、T細胞の増殖に伴う形質の変化を、DNA複製にリンクしたクロマチン構造の変換から説明することを試みる。 胸腺内CD8T細胞の分化には転写因子Runx3が重要な役割を担うことが明らかとなっている。その役割の一つに、CD8遺伝子の再活性化があることを我々は既に明らかにしているが、その詳しい機序については不明であった。今回我々は、Runx3がCD8遺伝子領域で開始されるDNA複製を活性化するとともに、TCRシグナルによる細胞周期停止を完壁に阻止することを見いだした。重要なことに、DNA複製の阻止はCD8遺伝子の不活性化を促進し、CD8T細胞の分化を強く抑制する。このことから我々は、Runx3がゲノム全体の複製並びに、領域特異的なDNA複製のコントロールを行って、標的遺伝子のクロマチン構造の変換を行う、という新たな仮説の提案を行いたい。このような制御様式は、Runx3以外の分化マスターレギュレーターにおいても行われている可能性があり、今後は他の遺伝子や細胞系列について、解析を進めていく予定である。
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