2008 Fiscal Year Annual Research Report
胸腺の存在をDll4でどこまで解くことができるのか
Project/Area Number |
20060024
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
穂積 勝人 Tokai University, 医学部, 准教授 (30246079)
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Keywords | 胸腺 / T細胞 / Notch / TCR / D114 |
Research Abstract |
報告者はこれまで、T細胞の分化環境としての胸腺の役割を分子レベルで理解することを目的として、T細胞分化誘導におけるNotchシグナルの重要性と、シグナルを誘導するNotchリガンドについて研究してきた。すなわち、(1)活性化Notch1の強制発現により、胸腺環境に依存せず、単層培養系にてT細胞が誘導されること、(2)胸腺環境の特殊性は、胸腺上皮細胞に発現するNotchリガンド : D114にて説明されること、を報告してきた。 本年度は、胸腺にてT細胞系列へ分化決定がなされた未分化T細胞(DN1/2期、DN3期)がさらに分化する過程でのD114の重要性を、D114-floxed/FoxN1-Creマウス胎仔胸腺を用いて調べた。まずDN1/2細胞では、D114欠失環境では、対照と比較し、著しく細胞数が減少(1/20)し、DP期への分化もほとんど認められなかった。この結果は、DN1/2細胞に遺伝子再構成したTCRb遺伝子を導入しても同様であった。よって、D114不在によるDN1/2細胞の分化異常は、同遺伝子の再構成不全によるものではないことが示唆された。現在、DN1/2期でのもう1つのNotchシグナル標的遺伝子であるpTa遺伝子の過剰発現による影響について検討している。一方、後者では、DP期への分化能はほとんど差異が認められないが、回収できる細胞数が少なく(1/4程度)、BrdUの取り込みにて検出される細胞周期の進展も低下傾向にあることが示された。以上のことから、胸腺上皮細胞にて発現するD114は、胸腺内T細胞分化(DN/DP期)にも重要であり、pTaを含むpre-TCR構築および細胞増殖に関与する可能性が考えられた。
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