2009 Fiscal Year Annual Research Report
胸腺の存在をDll4でどこまで解くことができるのか
Project/Area Number |
20060024
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
穂積 勝人 Tokai University, 医学部, 准教授 (30246079)
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Keywords | 胸腺 / Dll4 / 環境 / T細胞 / 分化 / 増殖 |
Research Abstract |
胸腺分化環境要因としてのDelta-like4(Dll4)の役割 T細胞は、他の血液細胞が骨髄中にて分化・成熟するのと異なり、分化環境として胸腺を必要とする。これまで、我々を含む複数の研究グループにより、造血未分化細胞からT細胞への分化にはNotchシグナルが重要であることが示されてきた。我々は、哺乳動物での4つのNotchリガンドのうち、3つ(Dll1、Dll4、Jagged1)について誘導型遺伝子欠損マウスを作製・解析し、胸腺環境の成立には、胸腺上皮細胞に発現するDll4が唯一重要であることを明らかにした。すなわち、胸腺上皮細胞にてDll4遺伝子を欠失したマウスでは、胸腺内にT細胞はまったく存在せず、代わりに多数のB細胞が出現することを見出した。 また、Notchシグナルは、胸腺内での未分化T細胞の分化・増殖にも重要とされており、Dll4の役割をさらに検討した。Dll4非存在下に胸腺未分化T細胞(DN1/2)を胸腺器官培養にて分化誘導を行うと、ほとんどT細胞は分化しなかった。これは、当該ステージにてNotchシグナルの標的分子と考えられてきたTCRβ鎖およびpTαの遺伝子導入を行っても改善しなかった。また、最近、Notch下流にて機能することが示唆されるc-mycおよび活性化Aktの共発現によっても正常T細胞分化は再現できず、異常増殖が観察された。これらのことから、T細胞分化および正常細胞増殖の担保には、制御されたNotchシグナルの発動が重要であることが明らかとなった。
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