2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20060027
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
木梨 達雄 Kansai Medical University, 医学部, 教授 (30202039)
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Keywords | RAPL / Rap1 / リンパ球ホーミング / ケモカイン / インテグリン / 血管内皮 / LFA-1 / ICAM-1 |
Research Abstract |
リンパ球の全身性動態制御は獲得免疫の基盤として免疫自己の維持に不可欠である。インテグリン接着調節はその重要な基盤をなしている。本研究では、インテグリン接着を制御するRap1シグナルによるリンパ球の血管内皮接着と組織内移動のメカニズムに焦点をあてて、リンパ球動態の分子基盤を明らかにすることを目的とする。ローリングから停止接着の誘導はケモカインシグナルによるLFA-1の活性化が必要である。L-selectin/PNAd, LFA-1/ICAM-1によるリンパ接着カスケードを生理的灌流下に再現し、Rap1-RAPLシグナルの機能について調べた。その結果、Rap1a/Rap1bをshRNA法にてknockdownすると、ローリング状態を維持し停止接着への移行が阻害された。RAPL, talinをknockdownすると一時的に停止するが、10秒以内に脱接着した。これらのことからRap1は停止接着に必須であり、RAPL, talinは停止接着の安定化に必要であることが明らかになった。さらに、欠失あるいは点突然変異をbeta2インテグリン細胞内領域に導入し、停止接着を調べたところ、従来指摘されていなかった領域がLFA-1の接着性を負に制御していることが示唆された。リンパ球はリンパ組織内で活発に移動することが多光子レーザー顕微鏡(MP)によって明らかにされている。蛍光色素によってラベルされたRAPL欠損リンパ球と野生型リンパ球を正常マウスに移入後、MPによる観察を行った結果、RAPL欠損Tリンパ球、Bリンパ球ともに組織内移動が著しく低下していた。またICAM-1とVCAM-1に対する抗体を投与すると接着が部分的に阻害された。これらのことからリンパ球組織内移動にインテグリンを介する移動が部分的に関与し、RAPLは組織内移動に重要な役割を果たしていることが明らかになった。現在、RAPLに会合するSte20-likeキナーゼMst1について、gene-targetingを行い、リンパ球接着・移動制御における機能について調べている。
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Research Products
(4 results)