2008 Fiscal Year Annual Research Report
プレB細胞受容体シグナルの新規標的転写因子群とその機能
Project/Area Number |
20060038
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
高木 智 Research Institute, International Medical Center of Japan, 地域保健医療研究部, 部長 (10242116)
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Keywords | 免疫学 / シグナル伝達 / 抗体 / 転写因子 / 細胞分化 / 細胞増殖 / レパトア |
Research Abstract |
B細胞は様々な外来抗原に対して特異的抗体を産生し生体防御に貢献する。造血幹細胞からの分化過程で機能的Ig重鎖を発現したB前駆細胞は、プレB細胞受容体を発現して選択的に増幅され、さらにIg軽鎖遺伝子を再構成しB細胞へと分化する。プレB細胞受容体からのシグナルはB細胞分化に必須であるが、下流の標的遺伝子群およびそれらの機能については未解決である。遺伝子再構成に障害のあるRAG2欠損B前駆細胞の分化誘導系を用いた遺伝子発現解析から、Btk依存的に制御されるbHLHファミリー転写因子HeyLを同定した。このB細胞初期分化における役割やB細胞レパトア形成における役割について検討を進めた。HeyLを発現するレトロウィルスベクターを造血前駆細胞に感染導入したのち放射線照射したマウスに移入し、各種免疫担当細胞への分化・増殖過程における効果を検討した。HeyL過剰発現によりB細胞系への分化ならびにB細胞産生が亢進することがわかった。生理機能を明らかにするため、HeyL欠損マウスの作成を行った。相同組換えをおこしたES細胞を選別し、常法によりキメラマウスを経て+/-マウスの作成に成功した。-/-マウスの作成ならびにHeyL欠損の免疫系への影響、特にB細胞初期分化、液性免疫応答へのインパクトの検討を始めている。HeyLによるB細胞分化誘導とプレB細胞受容体やBtkシグナルとの相補性を検討した。プレB細胞受容体を欠損するRAG2欠損マウス、Btk欠損マウス、それらの両方を欠損するRAG2/Btk重複欠損マウスのB前駆細胞にHeyLを過剰発現させた場合の分化誘導能を検討し、HeyLによるB細胞産生促進にプレB細胞受容体シグナルまたはBtk依存性シグナルのどちらかが必要であることがわかった。
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