2009 Fiscal Year Annual Research Report
コネクトーム計画X:X線顕微鏡による神経回路配線図の解読
Project/Area Number |
20200001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水谷 治央 The University of Tokyo, 総括プロジェクト機構, 特任助教 (40444103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 貴樹 東京大学, 総括プロジェクト機構, 特任助教 (20418651)
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Keywords | X線顕微鏡 / シナプス / 神経ネットワーク |
Research Abstract |
放射光X線またはレーザープラズマX線を光源とした高分解能X線顕微鏡を用いて、マウス大脳皮質カラム内のニューロン及びシナプス構造の可視化を行った。SPring-8のBL47XUビームラインにおいて、ゼルニケ型硬X線位相差顕微鏡により、スライス厚200nmの切片および直径25μmの円柱標本に含まれる大脳皮質の組織像を観察した。このときの空間分解能は60nm程度であったが、ミトコンドリアを含む細胞小器官とシナプス後肥厚部と思われる電子密度の高い構造を観察することが可能であった。CT計測においては、サンプルの変形が原因で精確な断面像を取得することができなかったため、冷却するなどの対策を講じる必要性が判明した。立命館SRセンター内に設置されている軟X線顕微鏡においては、同様な大脳皮質の超薄切片を用いた観察を行ったところ、ミトコンドリアとシナプスを同定することが可能であった。また、直径1μmの円筒状サンプルを用いて軟X線顕微鏡によるCT計測を行い、非破壊的な内部構造観察を行った。コントラストが不十分であったため、今後はフラックスを増やして短時間で撮影することを目標とする。また、東北大学多元物質研究所内に設置されているEUV顕微鏡を用いて、大脳皮質の薄切片(厚さ:500nm)を用いた観察を行ったところ、光学顕微鏡とほぼ同等な分解能ながらも、30ナノ秒で良好なコントラストのある画像を取得することが可能であった。今後、放射光X線による高分解能CT計測法が確立することで、10nm程度の等方ボクセル画像化による神経回路の配線とシナプス結合を追跡することが可能となり、神経ネットワークに基づく脳高次機能の作動原理を解明する糸口になると考えられる。
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